この記事では、エレキギターでヘッドホン練習する方法を解説します。
本来エレキギターはアンプから音を出す楽器ですが、住宅事情や時間帯によって必ずしもアンプが使えるとは限りません。
一軒家ならまだしも、ほとんどの賃貸住宅では実際のアンプは使えないのが現状です。
かといってエレキギターを弾くのを諦める必要はなく、周囲への音を最小限に留めながら演奏する方法があります。
それがヘッドホン出力です。
アンプやキャビネットをシミュレートする機材を使えば、実際のアンプを使わずにそれらしい音をヘッドホンから得られます。
(ここではこれを簡単に「ヘッドホン練習」と呼ぶことにします)
アンプを使わずに静かにギターを弾きたい方はぜひご覧ください。
ヘッドホン練習の方法とおすすめ
結論から書くと、ヘッドホン練習をする方法は大きく次の4つに分かれます。
- マルチエフェクター(アンプシミュレーター)を使う
- PC上のシミュレーターソフトを使う
- 実際のアンプのヘッドホン出力を使う
- その他の機材を使う
特に初心者の方におすすめなのは、1つ目のマルチエフェクター(アンプシミュレーター)を使う方法です。
詳しいことはこれから個別に解説していきます。
1 . マルチエフェクターでヘッドホン練習する
たった今書いたように、個人的に一番おすすめなのはマルチエフェクター(アンプシミュレーター※)を使う方法です。
※以下、簡単に「マルチエフェクター」とします。
本来マルチエフェクターとは様々なエフェクトが1台に入っていている機材のことを指します。
同時に、アンプやキャビネットの音をデジタル技術でシミュレートできる製品がほとんどです。
そういった機種はヘッドホン出力も備えていて、ここにヘッドホンをつなげば静かにギターを練習できます。
マルチエフェクターを使う場合に必要なもの
マルチエフェクターでヘッドホン練習する場合、次のものが必要になります。
- エレキギター
- シールド
- マルチエフェクター
- ヘッドホン
これら4つを接続するだけなので、構成はとてもシンプルです。
このように使い方がお手軽なのは、マルチエフェクターを使う大きなメリットです。
ヘッドホン出力に対応するマルチエフェクター
上にも書いたように、現状ほとんどのマルチエフェクターはヘッドホン出力に対応しています。
例外的に、ZOOM MS-50Gなど特殊な製品はそのままではヘッドホン出力はできません。
当サイトにはマルチエフェクターのレビュー記事も掲載しているので、あわせてご覧ください。
【MOOER GE150レビュー】IR読み込み可能な2万円のマルチエフェクター 【BOSS GT-1レビュー】アンプの前で使うべき2万円のマルチエフェクター 【ZOOM G1X FOURレビュー】高コスパを誇る1万円のマルチエフェクター 【VOX StompLab SL2Gレビュー】最安レベルでも実用的なマルチエフェクター
ヘッドホン出力ができる製品のほとんどはAUX INにも対応していて、外部のプレイヤーから音を流してギターと合わせられます。
マルチエフェクターでAUX INを使う方法【曲とあわせて練習する】マルチエフェクターを使う場合の音質
肝心の音質については、当然ながら製品の値段によりピンキリです。
数十万円するアンプシミュレータもあれば、1万円以下のエントリーモデルもあります。
ただ各社のデジタル技術は年々向上していて、低価格帯の製品だとしてもそれなりに使える音質になっているというのが個人的な印象です。
具体的にどの製品を買うかは、求める音質のレベルや機能、予算を踏まえて決めてください。
一例としてZOOM G1X FOURは1万円の低価格なマルチエフェクターですが、初心者が使うには十分な音質が得られます。
【ZOOM G1X FOURレビュー】高コスパを誇る1万円のマルチエフェクター2 . PC上のシミュレータを使う
2つ目に紹介するのは、PC上のシミュレータソフトを使う方法です。
例えばこちらはPC用ソフト「BIAS FX 2」の画面になります。
こういったソフトを使うと、コンピュータ上にエフェクトやアンプを再現してヘッドホンから聞くことができます。
要はマルチエフェクターがPCの中に入ったような格好です。
シミュレータソフトを使うのに必要なもの
シミュレータソフトを使うのに必要なものはと次のとおりです。
- エレキギター
- シールド
- オーディオインターフェース
- PC
- シミュレータソフト
上で紹介したマルチエフェクターの場合に比べて必要なものは多いです。
それに加えて、PCを起動しないといけないのも面倒。
一方で、PCを使うと様々なソフト(プラグイン)を組み合わせるなど、多様な使い方ができるというメリットもあります。
オーディオインターフェースを使う
ギターとPCを接続するには、「オーディオインターフェース」と呼ばれる機材を使うことになります。
当サイトにはオーディオインターフェースのレビュー記事を掲載しているので、あわせてご覧ください。
エレキギターとPCを接続する方法【オーディオインターフェースを使う】おすすめのシミュレータソフト BIAS FX
この手のソフトには色々あるのですが、個人的におすすめなのは上にも紹介した「BIAS FX」シリーズです。
値段・音質・使い勝手の点で優れています。
無料の体験版もあるので、どのソフトを使うか迷ったらまずはBIAS FXを使ってみてください。
【BIAS FX 2 レビュー】初代からさらに進化した高音質ギタープラグイン実際のアンプのヘッドホン出力を使う
アンプにはそれ自体にヘッドホン出力を備えている製品もあります。
しかしアンプはあくまで「アンプ」として設計されたものなので、ヘッドホン出力はあくまでおまけ程度に考えるのをおすすめします。
もちろん音質はピンキリではありますが、ここで書きたいのは「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということです。
ヘッドホン練習することが一番の目的であるなら、ヘッドホン出力目当てで実際のアンプを買うのはおすすめできません。
またアンプのヘッドホン出力を使う場合、色々な音を出そうと思ったら外部のエフェクターに頼ることになります。
それなら最初に紹介したマルチエフェクターの場合の方が、エフェクト数の点でもメリットが大きいです。
その他の機材を使う方法
iPadでシミュレータソフトを使う
先ほどPCとギターを接続してシミュレータソフトを使う方法を紹介しました。
これはiPadでもほとんど同じようなことができます。
iOS対応のオーディオインターフェースを使えば、ギターとiPadを接続できます。
iOS用のアプリなら、同じくBIASシリーズの「BIAS FX MOBILE」というアプリがおすすめです。
ただ、PCと比べるとどうしてもやれることが限られるので積極的にはおすすめはしません。
どうせオーディオインターフェースを使うのであれば、メリットが大きいPCを使うのをおすすめします。
BIAS FX MOBILE(iOS版)レビュー【iPadやiPhoneを高音質ギターアンプに】 iPadとギターを接続してシミュレータアプリを使う方法VOX Amplug
VOX Amplugシリーズは、ギターに直接挿すだけで使える小型&簡易マルチエフェクターのような製品です。
普通のマルチエフェクターよりも圧倒的に省スペースであり、値段も数千円と手頃です。
初心者でも使いやすいコンセプトと価格は素晴らしいですし、実際に使ってみたところ音質も値段以上でした。
ただあまり頑丈ではなく、かつて僕は1日で壊してしまったので、積極的におすすめはできません。
絶対に壊さない自信がある方は使ってみてもいいかもしれません。
【VOX amPlug2 Metal レビュー】音は素晴らしいが壊れやす過ぎるヘッドホン練習に関する個人的見解
補足として、ヘッドホン練習についてありがちな疑問について、僕なりの見解を書きたいと思います。
コラム的な内容として参考にしてください。
プロを目指さないならヘッドホンで練習しても問題なし
エレキギターは本来アンプを通してはじめて成立する楽器です。
そのためエレキギターの本当の音・ニュアンスというものがあるとしたら、それはやはりシミュレータではなくアンプを通して伝わるものでしょう。
ではヘッドホン練習ばかりしていてはダメなのかというと、個人的には全く問題ないと思います。
もちろん将来プロになって大勢の前でお金をもらって演奏するのが目標なのであれば、実アンプを使って練習すべきです。
プロにならなくても、実際にアンプを鳴らした方が気持ちいいのも事実。
しかしあくまで気楽な趣味の一環でアマチュアとして楽しむのであれば、ヘッドホンでもいいと思います。
ヘッドホンを直接挿しても音は出ない
「ヘッドホンをギターに直接挿して音は出せないか」と思う方もいるかもしれません。
結論から書くと、ヘッドホンをギターに直差ししても音は全く出ません。
エレキギターはアンプか、アンプをシミュレートする機材があって初めてきちんとした音が出ます。
さらに、ギターとヘッドホンだけでは電源がどこにもないので、音を発生させる電気的な仕組みが成立しません。
エレキギターのヘッドホン練習 まとめ
以上、エレキギターでヘッドホン練習する方法を解説しました。
まとめると、ヘッドホン練習をするならマルチエフェクター(アンプシミュレータ)を使うのが一番手っ取り早くておすすめです。
1万円前後のエントリーモデルでも、初心者の方には十分な音質が得られます。
お手軽にヘッドホン練習するための環境を作りたいなら、マルチエフェクターの導入を検討してみてください。
初心者向けマルチエフェクターの比較とおすすめ5選【エレキギター用】
次点でPC上のシミュレータソフトを使うのもおすすめです。
オーディオインターフェースを用意したり、機材やソフトを使いこなしたりする必要はありますが、PCならではの多様な使い方が可能です。
PC上で再現した音はそのまま録音にも使えます。
おすすめのソフトは「BIAS FX2」。
PCとギターを接続する方法は下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。
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