【ZOOM G1X FOURレビュー】高コスパを誇る1万円のマルチエフェクター

ZOOM G1X FOUR

今回はマルチエフェクター「ZOOM G1X FOUR」のレビューです。

実際に使ってみて感じた良いところと悪いところは次のとおりでした。

良いところ
  • 1万円という低価格
  • デジタル感は否めないが、十分使えるレベルの音質
  • ヘッドホンを直接挿して使える
  • チューナー、リズムマシン、ルーパーあり
  • 軽くて小さい
悪いところ
  • おもちゃっぽい
  • 本体での音作りは面倒(ただしエディタソフトあり)
  • 使えるエフェクトは5個まで
  • オーディオインターフェースの機能はない

G1Xの最大の特徴は、1万円ながらマルチエフェクターとして十分使えるクオリティを実現していることです。

ヘッドホン練習も可能で、リズムマシンなどの便利な機能も揃っています。

コストパフォーマンスが非常に高いので、初心者の方には特にチェックしてほしいマルチエフェクターです。

以下、ZOOM G1X FOURについて詳しくレビューしていきます。

本機が気になっている方はぜひご覧ください。

補足

かなり長い記事なので、目次と上に戻る機能をご活用ください。

G1X FOURの基本情報

まずはZOOM G1X FOURの基本的な特徴からチェックしていきます。

本機はZOOMが開発する典型的なエレキギター用マルチエフェクターです。

様々なエフェクトやモデリングアンプがこれ1台に入っています。

値段はおよそ1万円とマルチエフェクターとしては非常に低価格な部類です。

今回レビューするG1X FOURには兄弟機として「G1 FOUR」があります。
(Xがない)

違いはエクスプレッションペダルの有無で、G1Xはペダルあり、G1はペダルなしです。

付属品

G1X FOURに付属しているものは次のとおりです。

  • G1X FOUR本体
  • 書類一式
  • 単三電池×4

こちらがG1X FOUR本体です。

ZOOM G1X FOUR

仕様についてはこれから詳細にレビューしていきます。

 

保証書や取扱説明書、プリセットの解説といった書類も入っています。

G1X FOURの書類

プリセットのリスト

 

G1X FOURは電池のみで駆動することもでき、そのために必要な電池4本も付属します。

単3電池

 

箱はこちら。

G1X FOURの箱

サイズと重さ、質感

G1X FOURはマルチエフェクターの中でも特に小さい部類です。

G1X FOURのサイズ感

おおよその寸法は次のとおり。

21cm(幅)×15.5cm(奥行き)×6.5cm(高さ最大)

エクスプレッションペダルを最大まで上げると6.5cm、下げると5.0cmまで低くなります。

サイズ感としてはBOSSのコンパクトエフェクター2台より1周り大きいくらいです。

コンパクトエフェクターとのサイズ比較

 

重さは電池なしで617g。

G1X FOURの重さ

大きめのペットボトル飲料と同じくらいです。

このようにマルチエフェクターながら非常に小さくて軽いため、持ち運びに苦労することはまずありません。

ギグバッグのポケットにも余裕で入ります。

 

一方で、見た目や質感の点では正直おもちゃっぽいです。

おもちゃっぽい見た目

表面で目に見える部分はプラスチック系の素材で出来ています。

確かに見た目が安っぽいのは否めませんが、実用上の問題は何もありませんし、コンパクト感や軽さを実現するには仕方ないところです。

実際に触ってみた感想として、ツマミ類がもろくて壊れそうな印象は全くありませんでした。

そして何より、後で書くように中身(音質)については十分なクオリティです。

見た目をよほど気にする方でなければ、おもちゃっぽさは問題になりません。

G1X FOURのハードウェア仕様

続いてはZOOM G1X FOURのハードウェア面の特徴について詳しく見ていきます。

ディスプレイ

G1X FOURにはモノクロ(白黒)のディスプレイがついています。

G1X FOURのディスプレイ

(バックライトON、コントラスト13段階中6に設定)

サイズ:幅5.7cm×奥行き1.8cm

このディスプレイの画素は細かくはなくサイズも小さいため、必要最小限のシロモノです。

決して見やすいとは言えませんが、価格や本体のサイズ感を考えるとこれも仕方ないと思いました。

それでもコントラスト(濃さ)の調整やバックライトのON・OFFといった細かい機能は備わっています。

部屋の明るさに合わせて見やすく設定できるのが便利です。

コントロール

音作りや設定に使うツマミ類は次のとおりです。

  • ツマミ×4
  • ボタン×9
  • フットスイッチ×2
  • エクスプレッションペダル×1

G1X FOURのコントロール

本体で音作りをする際にはこれらのツマミやボタンをいじることになりますが、正直言ってけっこう面倒くさいです。

操作が面倒くさいのはマルチエフェクター全般に言える特徴ですが、G1X FOURは特にその傾向が強いなと思いました。

サイズが小さい分、操作性が犠牲になっています。

とはいえ操作が難しいというわけではありません。ただ単純に面倒なだけです。

また、操作性のデメリットについてはPC上のエディタソフト「Guitar Lab」(※)を使えばある程度解決できます。

※このソフトについては後半で紹介します

 

エクスプレッションペダルの存在は、G1X FOURと兄弟機G1 FOURの大きな違いです。

僕が購入した201912月の時点では、ペダルありのG1Xがおよそ10000円、ペダルなしのG18000円でした。

今回は「2000円の差なら機能が多い方を」と思いG1X FOURを購入した次第です。

入出力

G1X FOURの入出力端子は次のとおりです。

G1X FOURの入出力

  • INPUT
  • AUX IN
  • 電源DC 9V
  • USB Micro-Bジャック
  • OUTPUT

まずINPUTはギターを接続する入力です。特別なことはありません。

AUX INがついているので、外部から音楽を流してそれに合わせて練習できます。

マルチエフェクターのAUX INの使い方は下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

マルチエフェクターでAUX INを使う環境 マルチエフェクターでAUX INを使う方法【曲とあわせて練習する】

 

電源はZOOM純正のAD-16が推奨されています。

一方でBOSS PSA-100やパワーサプライでも動作しました。

BOSS PSA-100とパワーサプライ

エフェクター用の9V電源は基本的に使えると思ってかまいません。

 

ジャックの入り口が深くなっている仕様は気に入りました。

電源ジャック

acアダプターのプラグがしっかり固定されて、断線しにくい気がします

 

USB端子PCと接続するのに使います。

やれることは次の2つです。

この際に使うケーブルは付属していないので、別途用意しましょう。

MicroUSBケーブル

 

OUTPUTはギターシールドもヘッドホンも挿せる珍しい仕様です。

アンプやヘッドホン、ミキサーに信号を送るのに使います。

電池駆動

G1X FOURは単三電池4本でも駆動します。

G1X FOURの電池スロット

ACアダプターで電源を確保しにくい状況で便利です。

G1X FOURのエフェクトと音質

ここからはマルチエフェクターとしてのZOOM G1X FOURにとって肝心の音質についてレビューしていきます。

エフェクトの種類と数

G1X FOURで使えるエフェクトの数をカテゴリごとに次のとおりです。

カテゴリエフェクトの数
DYNAMICS10
FILTER13
DRIVE22
AMP16
CABINET14
MODULATION22
SFX4
DELAY16
REVERB11
PEDAL(G1Xのみ)18

カテゴリについて簡単に説明すると、

  • DINAMICS:コンプやノイズリダクション
  • FILTER:EQやオートワウ
  • DRIVE:歪みエフェクト
  • AMP:モデリングアンプ
  • CABINET:キャビネットシミュレータ
  • MODULATION:フランジャーやコーラス
  • SFX:爆発音などの飛び道具系
  • DELAY:ディレイ
  • REVERB:リバーブ
  • PEDAL:エクスプレッションペダルを使ったエフェクト

という内容です。

各カテゴリに相当数のエフェクトが用意されており、バリエーションは十分でした。

全てのエフェクトはZOOMの公式サイトで配布されているPDFで確認できます。

G1X FOURを購入前の方もぜひチェックしてみてください。

【リンク】ZOOM G1X FOUR/G1X FOUR DOWNLOADS

音質についての感想

アンプの前、ヘッドホン(ライン)の両方でG1X FOURを使ってみたところ、ともに十分使えるクオリティでした。

価格が1万円以下のマルチエフェクターということもあって、デジタル感はどうしてもあります。

とは言ってもこの価格でこれだけの音質と数を用意していることを考えると、コストパフォーマンスは異常です。

例えば2万円のマルチエフェクターならG1X FOURの2倍良い音がするかというと、そんなことはありません。

1万円でこれだけの製品を作り出したZOOMはすごい企業だなと思いました。

ヘッドホンの音は特に良い

ヘッドホンの音が思ったよりも良かったのは評価ポイントです。

これもやはりデジタル感、つまり「作られた感」があるのは否めません。

確かにリアルではないのですが、抜けは良くてあくまで使いやすい音だと感じました。

アマチュアがちょっとヘッドホン練習するには十分なレベルです。

使い方に関する注意点として、ヘッドホンを使う場合は「キャビネット」のパラメータの1つである「MIC」をONにするべきです。

最初はこれが重要なパラメータとは知らず、良い音質が得られませんでした。

これからG1X FOURを使う方はぜひ覚えておいてください。

そしてこの設定の仕方自体も最初は分かりにくく感じたので、別な記事にまとめました。あわせてご覧ください。

G1X FOURでマイクのON・OFF設定を切り替える手順

モデリングアンプが面白い

用意されているモデリングアンプは全て、実在する有名なアンプに基づいています。

僕は実際のアンプの音色は分かりませんが、G1X FOURに入っているモデルはそれぞれ個性があって楽しいです。

特にMarshallの「JCM800」と「1959 SUPER LEAD 100」をモデリングしたアンプが気に入りました。

実機のアンプを触ってきた方であればより一層楽しめるのではないかと思います。

音作りの幅について

G1X FOURの音作りの特徴として、エフェクトの数が5個までという制限があります。

そして常に必要なカテゴリはほぼ決まっているため、事実上の音作りの幅はそこまで広くはありません。

例えば次のような歪みの音作りを想定してみましょう。

  1. 歪みエフェクト
  2. モデリングアンプ
  3. キャビネット
  4. ノイズリダクション
  5. リバーブ

まずアンプ、キャビネット、ノイズリダクションの3つはほぼ必須です。

これで5個中3個のスロットを消費したので、残りは2つ。

これ以降の音作りはこの2つの中でやりくりする必要があります。

加えて、G1X FOURにはエクスプレッションペダルが搭載されていますが、実はこれを使うにもエフェクトを1つ使います。

上に紹介したエフェクトの「PEDAL」カテゴリがそれにあたります。

よって、普通のマルチエフェクターと比べるとG1X FOURの音作りの幅は狭いのは否めません。

ただこれも1万円という値段を考えると仕方ない部分かなと思います。

また、シンプルな音作りしかしないのであればエフェクト数の制限はそこまでデメリットにはなりません。

僕自身がまさにそうで、上に紹介したようなシンプルな構成で各エフェクトを煮詰めていけばそこそこ納得できる音が作れています。

Guitar Lab

G1X FOURにはパッチの編集やエフェクトの管理ができる「Guitar Lab」というPC用ソフトが用意されています。

このソフトの使い方は別記事で詳しく解説しているので、今回は簡単に紹介します。

Guitar Lab G1X FOUR用エディタソフトGuitar Labを使う方法

パッチを簡単に編集できる

上にも書いたとおり、G1X FOUR本体での音作りはなかなか面倒です。

小さい画面とツマミ類でちまちま操作しないといけません。

そこでGuitar Labを使えばPCの大きな画面とマウスを使って直感的に音作りができます。

Guitar Lab

本体に比べて圧倒的に操作しやすいので、家でじっくり音作りするのであればGuitar Labをぜひ使ってみてください。

ZOOMの公式サイトから無料でDLできます。

エフェクトの追加・管理ができる

Guitar Labを使うと、G1X FOURに最初は入っていないエフェクトを使えるようになります。

上で使えるエフェクトの数を紹介しましたが、あればGuitar Labを使った上での合計です。

G1X FOURのメモリのスペック上、用意されているエフェクト全てを同時に読み込んでおくことはできません。

そこでGuitar Labを使うと、自分が使いたいエフェクトだけを選んで本体に読み込んでおけます。

実際に使ってみると、全てのエフェクトを使える状態にしておく必要性は感じませんでした。

自分が使いたいエフェクトをピックアップしてメモリいっぱいまで読み込んでおけば事足ります。

このエフェクト管理の仕組みは同じくZOOMの「MS-50G」とほぼ同じです。

MS-50Gを使ったことがある方はすぐに理解できると思います。

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G1X FOURのその他の機能

最後に、ここまでに紹介しきれなかった機能や特徴についても書いておきます。

オーディオインターフェースの機能はない

G1X FOURにはオーディオインターフェースの機能はありません

これはマルチエフェクターとして重要なポイントです。

Micro-B端子でPCと接続はできますが、これはファームウェアの更新Guitar Labのみに使われます。

よってPCと直接音のやり取りをすることはできません。

この仕様は購入前にしっかり確認しておいてください。

G1X FOURからPCに音を送って録音などをしたい場合、別にオーディオインターフェースを用意しましょう。

 

Roland Rubix24 【Roland Rubix24レビュー】ハードウェアコンプ搭載のオーディオインターフェース

 

チューナーはそこそこ使える

2つのフットスイッチを同時押しするとチューナーが使えます。

使用感としては、マルチエフェクターにしてはなかなか使いやすい方だと思いました。

画面下のボタンが光ることで音程のズレを視覚的に表示してくれます。

G1X FOURのチューナー

上下にやたらめったらぶれることもないので、チューナーとして実用に耐えるレベルです。

68種類のリズムマシン

G1X FOURは1万円という価格ながら、リズムマシンが搭載されています。

左端の「RHYTHM」ボタンですぐに起動できます。

G1X FOURのリズムマシン

しかも68種類ものパターンが入っています。

別途メトロノームを用意しなくてもリズム練習が出来るのは便利です。

G1X FOURまとめ:コスパ最高のマルチエフェクター

以上、マルチエフェクター「ZOOM G1X FOUR」のレビューでした。

良いところ・悪いところをもう一度確認すると、次のとおりです。

良いところ
  • 1万円という低価格
  • デジタル感は否めないが、十分使えるレベルの音質
  • ヘッドホンを直接挿して使える
  • チューナー、リズムマシン、ルーパーあり
  • 軽くて小さい
悪いところ
  • おもちゃっぽい
  • 本体での音作りは面倒(ただしエディタソフトあり)
  • 使えるエフェクトは5個まで
  • オーディオインターフェースの機能はない

G1X FOURの何よりの特徴は、やはり1万円という低価格で使いやすい音色を実現していることです。

その点でコスパが最高レベルなのは間違いありません。

そこまで高価ではないため、「とりあえずマルチを触ってみたい」という初心者の方には特におすすめのマルチエフェクターです。

もちろん耳の肥えたプレイヤーを唸らせる音質なのかというと、そこまでは言いません。

音質を追求する場合、「G1X FOURはあくまで1万円のマルチエフェクターである」と認識し、より高価格帯の製品を検討するべきです。

また、エクスプレッションペダルはなかったらなかったでいいと思います。

僕は機能が多い方がいいかもと思ってペダルありの「G1X FOUR」の方を買いましたが、結局ペダルを使う機会はそこまでありませんでした。

これから購入を検討されている方は、ペダル無しの「G1 FOUR」の方も検討してみてください。こちらならG1Xより2000円ほど安くなります。

今回は以上です。

ZOOM G1X FOURが気になっている方の参考になればと思います。

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