今回はモニターヘッドホン「SONY MDR-CD900ST」のレビューです。
楽曲制作に必要となるのが原音を忠実に再生するモニターヘッドホン。
MDR-CD900STは「モニターヘッドホンで迷ったらこれを買えば正解」という業界標準機です。
16,000円という価格はプロが使う機材と考えれば決して高くはありません。
ただし保証期間がなく側圧が強めなのには注意。
DTMなどの楽曲制作や楽器のモニターとして使うヘッドホンをお探しの方はぜひチェックしてみてください。
- 業界標準機でも価格は16,000円
- パーツがバラ売りされている
- 初期不良以外は有償修理のみ
- 側圧はやや強め
- リスニングには不向き
SONY MDR-CD900STの基本情報
まずはSONY MDR-CD900STの基本的な情報から見ていきましょう。
MDR-CD900STは1989年に発売された密閉型モニターヘッドホンです。
当初は業務用としてのみ流通していましたが、その後一般ユーザー向けにも販売され始めました。
今となってはモニターヘッドホンの決定版として不動のベストセラー商品となっています。
シンプルな黒いボディと赤色が入ったハウジングはテレビのCMなどで見たことがある方は多いでしょう。
価格は新品で15,000~16,000円程度。
オーディオに興味がない層からするとヘッドホンとしては高いと感じるかもしれません。
しかし本格的な楽曲制作でも使われている機材がこの値段で手に入ると考えれば、非常にリーズナブルだと言えます。
10万円ならまだしも15,000円ならアマチュアでも手が出しやすい価格帯です。
MDR-CD900STの付属品
元々MDR-CD900STは業務用のモニターヘッドホンです。
そのため付属品についても次の3つだけと必要最低限になっています。
- MDR-CD900STヘッドホン本体
- 仕様書1枚
- 箱
MDR-CD900STは何のデザインもないただの箱に入っています。
梱包はビニール袋1枚と非常にシンプル。
仕様書が1枚入っており、保証や電気的な仕様について書かれています。
こちらがMDR-CD900ST本体です。これから詳しくレビューしていきます。
MDR-CD900STの保証と修理について
MDR-CD900STには初期不良を除いてメーカー保証がありません。
普通の製品だと「買ってから1年以内の自然故障なら無料で修理」などのメーカー保証がついています。
MDR-CD900STにはそういった保証期間がないため、使っていて自然故障しても修理は有料です。
本体の箱にもその旨が書かれています。
公式サイトの製品ページにも同じ内容が書かれています。
※本機は業務使用を目的とした、プロフェッショナル仕様のヘッドホンの為、
無償修理期間は設定せず、すべて有償での修理とさせていただいております。
【引用元】MDR-CD900ST | Sony Music Solutions Inc.
MDR-CD900STを買う際にはこの点をしっかり認識しておきましょう。
「普通の製品のようにメーカー保証がないと不安」という方は別なヘッドホンをおすすめします。
MDR-CD900STの電気的仕様
MDR-CD900STの電気的仕様は次のとおりです。
インピーダンス | 63Ω |
定格入力 | 300mW |
最大入力 | 1,000mW |
再生周波数帯域 | 5~30,000Hz |
※付属の仕様書より
SONY MDR-CD900STの作り
続いてはSONY MDR-CD900STのヘッドホンとしての作りについてチェックしていきます。
MDR-CD900STの側圧は「やや強め」です。
またイヤーパッドはそこまで厚くないため装着感は決して良くはありません。
僕は頭が大きく普段メガネをしているため、耳のあたりにそれなりに違和感があります。
長くつけていると疲れてくるというのが正直なところです。
人によって装着感は違うものの、快適なつけ心地は期待できないと考えましょう。
ただし頭に対してヘッドバンドの角度を調整すると、耳周りへの違和感を小さくできることがあります。
実際にMDR-CD900STを使うときは付け方を工夫してみましょう。
兄弟機である「MDR-7506」は同じような作りで側圧は弱めなので、こちらもぜひチェックしてみてください。
【SONY MDR-7506 レビュー】折りたたみ可能なモニターヘッドホン
耳を覆う丸いパーツ(ハウジング)はマットな質感のプラスティックでできています。
シルバーと赤が差し色となったロゴが特徴的です。
ヘッドバンドは合皮のような素材が使われています。
内側にはふんわりとクッションが入っており頭のてっぺんには違和感を感じさせません。
ヘッドバンドとハウジングの距離はスライダーで調整できます。
11目盛り、長さおよそ4.2cmの範囲で伸び縮みします。
使い方のコツとして「スライダーを調整するときは必ずプラスティックのパーツを持つ」ようにしてください。
ヘッドバンドを掴んで調整すると、スライダーを固定するプラスティックのパーツが外れてしまうことがあります。
僕は1台目に買ったMDR-CD900STでこのパーツを外してしまいました。
元に戻すのはかなり難しいので、長く使うためにもスライダーの調整方法には注意しましょう。
ケーブルは全長2.5mで、直径はおよそ4mmです。
頑丈である一方でしなやかでもあるため、クセが付きにくく取り回しもしやすいです。
端子はステレオ標準プラグ(6.3mm)。
端子とケーブルの境にはスプリングがついていて断線しづらくなっています。
ステレオミニへのアダプタは付属していないため、必要であれば別に用意しましょう。
イヤホン・ヘッドホンのプラグを変換する方法【アダプタを使う】
一般的なオーディオインターフェースのヘッドホン出力にそのまま挿せるサイズです。
写真はSteinberg UR22C。
【Steinberg UR22C レビュー】エントリーモデルの最有力オーディオインターフェース
ステレオミニに変換するアダプターを使えば、イヤホンジャックを持つスマホやタブレットなどにも使えます。
ただしアダプターとケースとの干渉には注意してください。
ケーブル込みの重さは実測で270g。
パーツがバラ売りされている
MDR-CD900STの大きな特徴は「パーツがバラ売りされていること」です。
どこか1ヶ所が壊れたり劣化したりしても丸ごと買い換える必要はありません。
その部分だけパーツを買って交換すれば長く使うことができます。
パーツを探すときは「サウンドハウス」で「MDR-CD900ST」と検索すると見つけやすくておすすめです。
本体だけでなくパーツもヒットします。
SONY MDR-CD900STの音質
ここからはSONY MDR-CD900STにとって肝心の音質について書いていきます。
味付けの一切ない音質
モニターヘッドホンの役割は「原音をそのまま鳴らす」ことです。
SONY MDR-CD900STはその目的どおり出音に一切味付けをせず、ありのままの状態で鳴らしてくれます。
音の分離感がよく、ごく小さなノイズに気づきやすいのも大きな特徴です
密閉型であるため周りの音をシャットアウトして、本来聞くべき音に集中できます。
この性質によってMDR-CD900STは楽曲制作だけでなく、楽器単体の音をモニターするのにも向いています。
例えばエレキギターであれば、マルチエフェクターやシミュレータソフトを使ってヘッドホンから音を取る場面も多いです。
そんなときもモニターヘッドホンを使えば、その機材・ソフト本来の音をありのまま聞くことができます。
実際にMDR-CD900STとリスニング用のヘッドホンを使い分けてみると、同じ機材でも聞こえ方は別物です。
楽曲制作より前の「楽器の音作り」の段階でもぜひMDR-CD900STを使ってみてください。
楽器とは関係ありませんが、MDR-CD900STを使ってゲームをしてみるのも面白いです。
高い分離感と繊細な表現力によって「こんな音も鳴っていたのか」と気づくことがあります。
ゲームに使うのを主な目的として買うのはおすすめしないものの、MDR-CD900STを買ったらそんな使い方もアリです。
リスニングには向かない
MDR-CD900STは楽曲制作のために開発されたモニターヘッドホンであるため、リスニングには向きません。
リスニング用のヘッドホンやイヤホンは「音楽を聞いていて気持ちいい、楽しい」と感じるようにチューニングされています。
またリスニング用の製品は快適に使えるように装着感が良いのも特徴です。
MDR-CD900STの特徴はその真逆とも言えます。
原音を忠実に再現するために、意図したチューニングは施されていません。
また密閉型であるため装着感もそこまで良くはなく、長くつけていると疲れてきます。
この点はあらかじめしっかりと認識しておきましょう。
SONY MDR-CD900ST レビューまとめ
以上、密閉型モニターヘッドホン「SONY MDR-CD900ST」のレビューでした。
メリット・デメリットをまとめると次のとおりです。
- 業界標準機でも価格は16,000円
- パーツがバラ売りされている
- 初期不良以外は有償修理のみ
- 側圧はやや強め
- リスニングには不向き
まとめると、モニターヘッドホンで迷ったらMDR-CD900STを買っておけば間違いありません。
業界の標準機であることを考えれば16,000円はリーズナブルな価格です。
一方で、初期不良以外の保証がないことと、側圧が強めなことはあらかじめ確認しておきましょう。
モニターヘッドホンをお探しの方の参考になれば幸いです。
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