今回は現状でおすすめのモニターヘッドホンを紹介します。
この記事で紹介するヘッドホンを先に書くと次の4つです。
- SONY MDR-CD900ST
→国内のスタンダード。迷ったらコレ。 - SONY MDR-7506
→CD900STより装着感と持ち運びやすさで優れる。 - AKG K240 Studio
→セミオープン型の柔らかな音質 - CLASSIC PRO CPH 7000
→CD900STそっくりで5,000円以下。
以下、それぞれの製品のメリット・デメリットをまとめていきます。
モニターヘッドホンをお探しの方はぜひご覧ください。
モニターヘッドホンとは
楽曲制作や楽器の音作りにおいては、ありのままの音を細かくチェックすることが重要です。
音に味付けがあるリスニング用のヘッドホンでは原音を忠実に再生することができません。
そこで役に立つのが「モニターヘッドホン」です。
モニターヘッドホンは原音に味付けをせずそのまま鳴らすよう設計されているため、音のチェック作業には最適。
漫然と聞いていては気づけない小さなノイズにも気づきやすくなります。
そのためモニターヘッドホンは楽曲制作には欠かせないアイテムの1つです。
エレキギターでの活用
楽曲制作とまでいかずとも、エレキギターを演奏する際にもモニターヘッドホンは役立つことがあります。
マルチエフェクターやアンプシミュレータソフトを使う場合、ヘッドホンから音を聞くことも多いでしょう。
そこでモニターヘッドホンを使えば、その機材やソフトが持つありのままの音をモニターすることができます。
フラットなモニター環境で音作りをすれば、その後楽曲制作に生かすときにも音のギャップがありません。
よってモニターヘッドホンはギタリストであれば1つ持っておいて損はないアイテムでもあります。
自宅でエレキギターの録音をする方法まとめ【アマチュア向け】 エレキギター向けアンプシミュレータPCソフトの比較とおすすめリスニングには向かない
モニターヘッドホンはあくまで楽曲制作用に設計されているためリスニングには向きません。
多くが密閉型であるため、長時間つけていると聞き疲れも起きやすいです。
リスニング用の製品と違って、心地よく聞けるようなチューニングも施されていません。
よって音楽を楽しむのが目的ならモニター用ではなくリスニング用に作られたヘッドホンを選びましょう。
1 . SONY MDR-CD900ST
初めに紹介するのは「SONY MDR-CD900ST」です。
モニターヘッドホンで迷ったらMDR-CD900STを買っておけば間違いありません。
というのも本機は日本国内でのスタンダードとも言える製品だからです。
プロ・アマ問わずあらゆる現場で使われています。
赤い差し色が特徴のハウジング(耳を覆う丸いパーツ)に見覚えがある方は多いでしょう。
TVのCMなどでよく見るあのヘッドホンはMDR-CD900STです。
値段はおよそ16,000円。
プロが使っているスタンダードな機材をこの値段で買えると思えば決して高くはありません。
MDR-CD900STのメリット
モニターヘッドホンの標準機
MDR-CD900STは日本において標準機と言っていいモニターヘッドホンです。
原音を忠実に再現することにかけては、これ以上のクオリティを求める必要はありません。
言い換えると、MDR-CD900STを使えばモニター環境で言い訳はできなくなります。
パーツがバラ売りされている
MDR-CD900STはほぼ全てのパーツがバラ売りされています。
よってどこか1ヶ所が壊れたり劣化したりしても、丸ごと買い換える必要はありません。
その部分だけパーツを交換すれば1つの個体を長く使い続けられます。
さらにパーツが「純正」であることは重要です。
バラ売りのパーツは全てMDR-CD900ST用のSONY純正であるため、形が合わないといったことはあり得ません。
パーツを探すときはサウンドハウスで「MDR-CD900ST」と検索すると簡単に見つけられます。
MDR-CD900STのデメリット
側圧が強め
MDR-CD900STのデメリットとして、まず「側圧が強めであること」が挙げられます。
側圧とはヘッドホンをつけたときの左右からの圧迫のことです。
MDR-CD900STのヘッドバンドは狭めに設計されており、イヤーパッドも薄め。
そのため特に頭が大きい人やメガネをかけている場合は耳周りに違和感を感じることもあります。
初期不良以外は有料修理のみ
MDR-CD900STにはメーカー保証がなく、初期不良を除いては全て有料での修理となります。
これはMDR-CD900STが本来は一般ユーザーではなく業務用に開発されているからです。
そのためメーカー保証のもとで安心して使いたいという方には向きません。
しかし上にも書いたようにパーツがバラ売りされていることでこのデメリットをある程度小さくできます。
- 業界のスタンダード
- パーツがバラ売りされている
- 側圧が強め
- メーカー保証なし
2 . SONY MDR-7506
「SONY MDR-7506」は上に紹介したMDR-CD900STの兄弟機とも言えるヘッドホンです。
MDR-7506は国内での知名度はそこまで高くはないものの、海外ではさかんに使われています。
コンパクトに折りたためる機能や装着感の良さが特徴です。
音質の点ではMDR-CD900STとどちらを選んでも間違いなし。
値段は直輸入品で10,000円、国内流通品で13,000円ほどです。
MDR-7506のメリット
MDR-CD900STと肩を並べる表現力
MDR-7506はMDR-CD900STと並ぶ表現力・分解能を誇ります。
これら2機種の音の聞こえ方は全く同じではありません。
MDR-7506の方がやや音に広がりがあり、CD900STの方がギュッと詰まった印象を受けます。
両者にモニター能力の優劣はなく、どちらを選んでも正解です。
コンパクトに折りたためる
MDR-7506の最大の特徴はハウジングが折りたためることです。
こちらが普通の状態。
ハウジングをヘッドバンド側に押し込むと折れ曲がってコンパクトになります。
付属のキャリングケースに入れれば持ち運びがとても楽になります。
側圧が弱め
上に書いたようにMDR-CD900STは業界のスタンダードでありながらも、側圧の強さがデメリットでした。
その点MDR-7506は側圧が弱めで装着感で優れています。
メガネをかけていても耳周りにほとんど違和感がなく、長い間つけていても疲れません。
これはヘッドバンドの作りとイヤーパッドの厚みによる差です。
並べてみるとヘッドバンドの作り自体がMDR-7506の方が広いのが分かるでしょう。
イヤーパッドも一回り厚めに作られています。
よって特に「MDR-CD900STの側圧が気になる」という方はMDR-7506をチェックしてみてください。
MDR-7506のデメリット
MDR-7506の大きな特徴である「カールコード」は一長一短です。
最長で3mまで伸びるものの、途中がカールしていることで普段は125cm程度にまとまっています。
コンパクトであるため持ち運びや手元での使用には便利。
一方で、ギターを弾くときに使うと演奏の邪魔になることもあります。
このようにカールコードは使い方によってメリットにもデメリットにもなり得ます。
あらかじめ「自分がどんな使い方をするのか」をよく確認してみてください。
- MDR-CD900STと肩を並べる表現力
- 持ち運びに便利
- 装着感が良い
- カールコードは使い方によって一長一短
3 . AKG K240 Studio
3つ目に紹介するのは、オーストリアの音響機器メーカーAKGの「K240 Studio」です。
価格は5,000円前後と、モニターヘッドホンの入門機としては最適。
低価格だからといってデザインと音質に妥協はありません。
セミオープン型のハウジングを採用し、リスニング用としても使える1台です。
K240 Studioのメリット
高級感のあるデザイン
K240 StudioのデザインはAKGのヘッドホン特有のフォルムを踏襲しています。
ヘッドバンドの上を流れる2本のワイヤーが特徴。
ゴールドを差し色とするハウジングを中心に、高級感のあるデザインが魅力的です。
セミオープン型で聞き疲れしにくい
K240 Studioは「セミオープン型」のヘッドホンです。
セミオープン型のハウジングでは表面が部分的に開放されています。
この構造によりK240 Studioは柔らかく、耳あたりが良い音質を実現しています。
聞き疲れしにくいため、エレキギターで長時間ヘッドホン練習をするときにも便利。
フラットな音質ではありながらも、リスニング用としても悪くありません。
リケーブル可能
K240 Studioは着脱式のケーブルを採用。
断線にも簡単に対応できるのに加え、音質向上のためにリケーブルを楽しむこともできます。
ヘッドホン側の端子にはミニXLRを採用しているため、外れることはまずありません。
K240 Studioのデメリット
K240 Studioの装着感は人を選ぶかもしれません。
スライダーが固定されておらず、ヘッドバンドを頭で押し上げるような着け方が特徴的です。
このためハウジングが上に引っ張られているような感覚がややあります。
僕は頭が大きくメガネもかけているものの、そこまで大きな違和感はありません。
ただ人によっては気になるかもしれないため、一応デメリットとして書き留めておきます。
- 5,000円でも高級感のあるデザイン
- セミオープンで耳あたりが優しい音質
- リケーブル可能
4 . CLASSIC PRO CPH 7000
CLASSIC PRO CPH 7000はMDR-CD900STそっくりなモニターヘッドホンです。
ほとんど同じ構造で価格は5,000円以下。
音質の点でも、全く同じではないもののCD900STに肉薄するクオリティを実現しています。
側圧が弱めで装着感が良いのもメリット。
SONYというブランドやスタンダードにこだわらず、コストパフォーマンスを重視する方におすすめです。
CPH 7000のメリット
MDR-CD900STに近い音質
モニターヘッドホンを語る上で最も重要なのはやはり音質です。
CPH 7000は5,000円と低価格ながら、音質は標準機MDR-CD900STと比べて大きく劣るわけではありません。
アマチュアで音質に相当なこだわりを持たない限り、CPH 7000でも十分使えます。
低予算で高音質なモニター環境を揃えたい方はぜひチェックしてみてください。
装着感が良い
CPH 7000は装着感の点ではMDR-CD900STより優れています。
明らかに意識して作ったそっくりな見た目と構造ではあるものの、全体的に作りは大きめ。
イヤーパッドも大きめで厚みがあります。
CPH 7000のデメリット
ブランドで見劣りする
実用性とは関係ないものの、SONYと比べると「CLASSIC PRO」というブランドは所有欲を満たしてはくれません。
CLASSIC PROは楽器通販サイト「サウンドハウス」が持つブランドの1つです。
コストパフォーマンスに優れる低価格な製品をラインナップしています。
持つことに対する満足感を得たいのであれば、やはりMDR-CD900STを選んでおくのがおすすめです。
少し安っぽい
5,000円という低価格ゆえにMDR-CD900STと比べると全体的に安っぽい印象を受けます。
形はほぼ同じであるものの1つひとつのパーツの質感が簡素です。
MDR-CD900STの方が高級感があります。
- MDR-CD900STそっくり
- 5,000円
- 比べると少し安っぽい
モニターヘッドホンのおすすめ まとめ
以上、現状でおすすめのモニターヘッドホンのおすすめでした。
内容をまとめると次のとおりです。
- SONY MDR-CD900ST
→国内のスタンダード。迷ったらコレ。 - SONY MDR-7506
→CD900STより装着感と持ち運びやすさで優れる。 - AKG K240 Studio
→セミオープン型の柔らかな音質 - CLASSIC PRO CPH 7000
→CD900STそっくりで5,000円以下。
モニターヘッドホン選びは難しく考える必要はありません。
迷ったらスタンダードである「SONY MDR-CD900ST」を選んでおけば間違いなし。
求める側圧の強さや機能、予算によっては他の3機種も検討してみてください。
アマチュアの使用ということであれば、どれを選んでも音質面では十分なクオリティです。
モニターヘッドホンをお探しの方の参考になればと思います。
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