今回はモニターヘッドホン「SONY MDR-7506」のレビューです。
日本国内で有名なモニターヘッドホンといえば同じくSONYの「MDR-CD900ST」。
今回レビューするMDR-7506はその兄弟機ともいえる製品です。
音質はMDR-CD900STと優劣がつけがたく、モニター用としてならどちらを選んでも間違いありません。
ハウジングの折りたたみ機能やカールコード、側圧の弱さなど使い勝手の良さも光ります。
この記事では「標準機であるMDR-CD900STとどうちがうのか」という点にも注目しながらレビューしていきます。
モニターヘッドホンをお探しの方はぜひチェックしてみてください。
- MDR-CD900STと並ぶ繊細な表現力
- 持ち運びに便利(折りたたみ機能・カールコード)
- 側圧が弱め
- MDR-CD900STと全く同じ音ではない
- カールコードは使いどころを選ぶ

今回レビューする個体はサウンドハウスで購入した直輸入品です。国内流通向けの個体とは付属品などが異なる場合があります。
SONY MDR-7506の基本情報
まずはSONY MDR-7506の基本的な部分からチェックしてきましょう。
本機MDR-7506は1991年に発売された密閉型モニターヘッドホンです。
国内で圧倒的な知名度を誇るMDR-CD900STとよく似てはいるものの、後継機ではありません。
価格はおよそ10,000円から。
MDR-CD900STの16,000円と比べると3分の2です。
MDR-7506は海外向けにも製造されており、サウンドハウスでは直輸入品を安く取り扱っています。在庫を探すときはチェックしてみてください。
MDR-7506の付属品
MDR-7506の付属品は次のとおり。
- ヘッドホン本体
- プラグ変換アダプタ
- キャリングケース
- 保証書
こちらがヘッドホン本体です。これから詳しくレビューしていきます。
MDR-7506のプラグはステレオミニですが、これを標準サイズに変換するアダプタが付属します。

持ち運びに便利なキャリングケース。MDR-7506を折りたたむとこの小さな袋にすっぽり入ります。
保証書。
MDR-CD900STの箱がとてもシンプルなのに対し、MDR-7506の箱と梱包はやや手が込んでいます。
MDR-CD900STの箱↓
MDR-7506の技術仕様
MDR-7506の仕様は次のとおりです。
ドライバー | 40mm口径 |
インピーダンス | 63Ω |
定格入力 | 0.5w |
最大入力 | 1.0w |
再生周波数帯域 | 10~20,000Hz |
感度 | 106dB/mW |
SONY MDR-7506の作り
続いてはSONY MDR-7506の作りや機能について見ていきましょう。
MDR-7506の大きな特徴は「ハウジングを折りたたんでコンパクトにできること」です。
まずこちらが普通の状態。
左右のハウジングをヘッドバンド側に押し込むと、折れ曲がって小さくなります。
するとキャリングケースに入れられて持ち運びに便利です。
折りたたみ機能はMDR-CD900STとの決定的な違いの1つでもあります。
この機能があるからといって装着感に悪い影響は全くありません。
可動部は金属でできているため繰り返しの使用にも耐えられます。
MDR-CD900STと比べるとイヤーパッドが一回り厚く、ヘッドバンドも広め。
標準機であるMDR-CD900STは側圧の強さが人によってはデメリットでした。
MDR-7506であれば厚めのイヤーパッドと広めのヘッドバンドによって側圧が弱く、装着感で大きく勝ります。
頭が大きかったりメガネをかけていたりする方には特にMDR-7506を検討してみてください。
MDR-7506のハウジングは青色が特徴です。
ハウジング本体の質感はMDR-CD900STの方が高級感があります。
細かいポイントとしてMDR-7506とMDR-CD900STはハウジング周りのコード配線が違います。
MDR-7506はヘッドバンドからハウジング本体までコードが外側を通っています。
一方MDR-CD900STのコードは部分的にパーツの中に配線されています。
これはおそらく折りたたみ機能との兼ね合いだと思われます。
どちらの機種にも言えることですが、コードを思わず引っ張ってダメージを与えないように注意。
MDR-7506は「スライダー」でヘッドバンドからハウジングまでの距離を調整できます。
こちらが最小まで縮めた状態。
11目盛りで調整でき、最大で4.2cmまで伸ばせます。
この作りはMDR-CD900STと全く同じです。
使い方の注意点として「スライダーを動かすときは端のパーツを持つ」ようにしましょう。
ヘッドバンドを持って調整すると、スライダーを固定している端のパーツが外れてしまうことがあります。
「カールコード」もMDR-7506の特徴の1つです。
全長は3mで次のように分かれています。
- 本体~カール:ストレート 60cm
- 中間:カール 50cm(縮んだ状態)
- カール~プラグ:ストレート 15cm
カールコードにはメリットとデメリットがあります。
MDR-7506を折りたたんで持ち運ぶときには、コンパクトにまとまるカールコードは便利です。体と近い距離にある機器に接続して使う場合も短さはメリットになります。
一方でMDR-7506をつけながらギターを弾くときなどは、やや邪魔になるのがデメリット。演奏しづらくなったり、ケーブルが体に当たることでタッチノイズが出ることもあります。
このようにカールコードは使い方によって一長一短あるため、あらかじめ「自分がどういう使い方をするのか」は確認しておいてください。
その上でストレートの方がいいのであればMDR-CD900STの方がおすすめです。
付属品のところにも書いたとおりプラグは2wayで使えます。
本来はステレオミニサイズで、アダプタを使うことで標準サイズにも変換可能。
アダプタは回転して固定するタイプなので外れにくくなっています。
スマホやタブレットなどのイヤホンジャックに挿すのであればそのままステレオミニを使いましょう。
オーディオインターフェースなど標準サイズのジャックを持つ機器につなぐならアダプタが必要です。
ヘッドバンドは合皮のような素材で少し高級感があります。
重さは実測で303g。ケーブル込み。
ヘッドホン本体はつけていて重くはありません。
カールコードは小さくまとまっている分、見た目以上にずっしりとしています。
SONY MDR-7506の音質
次はSONY MDR-7506の肝心の音質について。
以下の2つのオーディオインターフェースをリファレンス環境として使用しました。
MDR-CD900STと肩を並べる音質
実際にMDR-7506をMDR-CD900STを聴き比べたところ、表現力の点では同等です。
モニター用としてどちらが優れているということはありません。
MDR-7506もモニター対象に味付けをせず、ありのままの音をダイレクトに伝えてくれます。
認識しておくべきなのは、「MDR-7506とMDR-CD900STで音の聞こえ方は同じではない」ということです。
MDR-7506の方が音の広がりが大きいように感じます。
これはイヤーパッドの厚みやドライバーと耳の距離という要因も絡んでくるでしょう。
現状、国内ではMDR-CD900STの方が多く使われており、事実上のスタンダードであると言えます。
よって「みんなと同じ」がいいのであればやはりMDR-CD900STを選んでおくのがおすすめです。
楽器単体のモニターにも向く
MDR-7506はDAWでの楽曲制作だけでなく、ギターなど楽器単体の音を聞くときも有用です。
例えばエレキギターであればマルチエフェクターやアンプシミュレータの音をヘッドホン出力から取ることもあります。
そんな場合でもMDR-7506のようなモニターヘッドホンを使えば、その機器やソフトの音をそのままモニターすることができます。


リスニングには不向き
モニターヘッドホン全般に言えることですが、やはりMDR-7506もリスニングには向きません。
あくまで楽曲制作用に作られているため、原音をそのまま伝えるのが本来の役割です。
当然の結果として、リスニング用に設計されたヘッドホンと比べると音楽を楽しむためのツールとしては劣ります。
MDR-7506をおまけとしてリスニング用に使うのはもちろん構わないものの、リスニングを主な用途として買うのはおすすめしません。
SONY MDR-7506 レビューまとめ
以上、モニターヘッドホン「SONY MDR-7506」のレビューでした。
メリットとデメリットをまとめると次のとおりです。
- MDR-CD900STと並ぶ繊細な表現力
- 持ち運びに便利(折りたたみ機能・カールコード)
- 側圧が弱め
- MDR-CD900STと全く同じ音ではない
- カールコードは使いどころを選ぶ
モニター用ヘッドホンを選ぶなら、やはり標準機であるMDR-CD900STを選ぶのがベストです。
一方、MDR-7506には持ち運びやすさと側圧の弱さという大きなメリットがあります。
音質という点ではどちらを選んでも間違いはありません。
モニター用ヘッドホンをお探しの方の参考になれば幸いです。
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