この記事では「1台目のオーディオインターフェースとしておすすめできる製品」を3つ紹介します。
オーディオインターフェースの役割は楽器やスピーカーなどをPCに接続することです。
次のような楽曲制作をしたい方には必須のアイテムと言えます。
- 楽器や歌の録音をしたい
- DTMで楽曲を作りたい
- 弾いてみた動画を作りたい
- マイクを使って配信をしたい
現在オーディオインターフェースとしてたくさんのモデルが販売されています。
しかし、その中で1台目として検討に値する製品はそれほど多くありません。
そこでこの記事では実際に買って使った経験をもとに「この中から選んでおけば間違いない」という製品を選びました。
紹介するのは以下の3機種です。
大前提として、ここで紹介する製品はギターやベース、マイクの接続といった基本的な使い方は当然できます。
音質やノイズ、遅延についても実用上問題ありません。
この記事ではそういった当たり前のことを前提として、さらに細かい特徴に注目していきます。
それぞれメリット・デメリットを挙げていくので、ぜひオーディオインターフェース選びの参考にしてください。
Steinberg UR22C
「Steinberg UR22C」はロングセラーだった「UR22mkII」の後継機として2019年に発売されました。
値段はおよそ16,000円。
リーズナブルな価格で高いクオリティ・機能性を実現しており、1台目のオーディオインターフェースとして最有力候補の1つです。
メリット・デメリットは次のとおり。
- 192kHz/32bitの高音質
- 堅牢なメタルボディ
- CUABSE AIが付属
- USB2.0のみのPCではバスパワー不可
UR22Cのサイズは実測で次のとおり。
幅15.4cm×奥行15.4cm×高さ4.7cm
重さは実測で930g。
かなりずっしりしているため、ケーブル類を何本もつなげても安定しています。
前後のパネルはこちら。
エントリーモデルに求められる機能のみがコンパクトにまとまっています。
まさに必要にして十分です。
詳しい仕様については「Steinberg UR22Cのレビュー記事」で解説しています。
Steinberg UR22Cのメリット
まずはSteinberg UR22Cの良いところから見ていきましょう。
192kHz/32bitの高音質
UR22Cの特徴の1つは「192kHz/32bit」の音質です。
エントリーモデルの整数解像度は24bitが主流である中、UR22Cは2019年発売ということもあり32bit仕様になっています。
簡単に書くと、この数値が大きいほど「音の繊細な変化」を表現できます。
オーディオ機器である以上は音質は重要なポイントです。
24bitと比べて誰が聞いても明らかに違うレベルの差ではないものの、確実なメリットの1つと言えます。
堅牢なメタルボディ
UR22Cは堅牢なメタルボディを採用。
全体的に作りがしっかりしているため、長く安心して使えます。
端はフロントパネルから少しはみ出しており、モノを落としたときツマミや端子を守ってくれます。
CUBASE AIが付属
UR22CにはDAWソフト「CUBASE AI」が付属(バンドル)します。
CUBASE AIは有料版「CUBASE」の簡易版であるものの、シンプルな楽曲制作には十分な機能を持っています。
他のオーディオインターフェースにもDAWが付属することは多いです。
しかし個人的にはCUBASEは特に使いやすいと感じているため、バンドルするソフトという点でもUR22Cはおすすめできます。
導入が面倒なのが厄介ですが、やり方はこちらの記事で解説しています。
バンドルのCUBASE AIをインストールして使う方法【解説】Steinberg UR22Cのデメリット
Steinberg UR22Cは仕様上では「USB2.0ではバスパワー駆動ができない」とされています。
バスパワーとは接続したPCから電源を取る仕組みです。
USB2.0でバスパワーが使えない場合、別に電源を用意しなければならずケーブルが1本増えてしまいます。
これがUR22Cのデメリットです。
USB2.0と3.0の見分け方はとても簡単。
- 端子が青くてSSマークがあればUSB3.0
- 端子が白黒でSSマークがなければUSB2.0
しかし実際に検証した限りでは、USB2.0ポートで接続しても問題なくバスパワーで駆動しました。
音声のやり取りなどもUSB3.0と同じです。
とはいえ仕様上バスパワー不可となっている以上、USB2.0のポートしかないPCで使うのであればUR22Cはおすすめできません。
UR22CはUSB2.0でバスパワー電源で駆動できる場合もある【検証】Roland Rubix24
2つ目に紹介するオーディオインターフェースは「Roland Rubix24」です。
UR22mkIIと同じくロングセラーだった「UA-55 QUAD-CAPTURE」の後継機として2017年に発売されました。
値段は20,000円前後。
前のモデルであるUA-55から値段は据え置きのまま、外見や機能の点で格段に進化しています。
- 高級感あふれるボディ
- ハードウェアコンプレッサー内蔵
- LEDの主張が激しい
Rubix24のサイズは実測で次のとおり。
幅18.1cm×奥行16.2cm×高さ4.5cm
機能が多いということもあってサイズは少し大きめです。
重さは1,165g。
サイズが大きめで重量も1kgを超えるため、持ち運びには向きません。
フロント・リアパネルはこちら。
上に紹介したUR22Cと比べるとスイッチやツマミが多いです。
これらの詳しい仕様については「Roland Rubix24のレビュー記事」で解説しています。
Roland Rubix24のメリット
ここからはRoland Rubix24の良いところをチェックしていきましょう。
高級感あふれるボディ
Rubix24はエントリーモデルとしては群を抜いて高級感があります。
全ての面が堅牢な金属でできており、耐久性の面でも文句なし。
ツマミも1つひとつがマットな仕上がりになっていて、デザインにも工夫があります。
この価格帯でRubix24ほど洗練されたデザインの製品はありません。
オーディオインターフェースは常にデスクに置いておく機材であるため、見た目の高級感はメリットの1つです。
ハードウェアコンプレッサーを内蔵
「ハードウェアコンプレッサー/リミッター」を内蔵しているのはRubix24のユニークな点です。
これらのエフェクトは「音量を整える」効果を持っています。
搭載されているモードは次の3つ。
- COMP1
- COMP2
- LIMIT
モードはリアパネルのスイッチから簡単に切り替えられます。
例えば、下の波形はCOMP1をギターの入力音声にかけたものです。
「THRS」はエフェクトの効きを調整するフロントパネルのツマミです。
THRSを大きくするにつれて、波形の中心の起伏がなくなっているのが分かるでしょう。
適切にエフェクトをかけると音圧が上がり、音の迫力を大きくできます。
これがコンプレッサーの効果です。
プラグインではなくオーディオインターフェース本体でエフェクトをかけられるのは遊び心をくすぐります。
Roland Rubix24のデメリット
一方、Roland Rubix24の残念なポイントはLEDの主張が激しいことです。
見やすさは最高ですが本体の雰囲気とはミスマッチ。
音声の入力があるたびLEDが緑や赤にピカピカ光り、Hi-Zと48VのLEDもオレンジ色に点灯します。
2入力2出力のRubix22もおすすめ
「Roland Rubix24」は2入力4出力のオーディオインターフェースです。
4入力やハードウェアコンプレッサーが不要という場合は、よりシンプルな「Roland Rubix22」の方をおすすめします。
Rubix22は機能が少ない分値段も17,000円前後とリーズナブルです。
Behringer UM2 U-PHORIA
「Behringer(ベリンガー) UM2 U-PHORIA」は安さが特徴のオーディオインターフェースです。
およそ5,000円という値段はこの手の製品では最安クラス。
低価格ゆえにiOSデバイスと接続できないなど機能には制限があり作りも安っぽさは否めません。
それでもオーディオインターフェースとして最低限の機能は備えています。
「クオリティは最低限でいいので、とにかく安く機材を揃えたい」という方にはおすすめです。
- 5,000円という安さ
- 最低限使えるクオリティ
- 安っぽい
- 2つのボリュームが独立していない
- OUTPUTがRCA
UM-2のサイズは次のとおり。
幅12.7cm×奥行11.5cm×高さ4.7cm
重さはわずか254g。
ここまで紹介してきた製品と比べると格段に小さくて軽いのが分かるでしょう。
これは機能が少なく素材も主にプラスティックだからです。
フロントとリアパネルはこちら。
ツマミは上側についています。
詳しい仕様については「Behringer UM2のレビュー記事」をご覧ください。
Behringer UM2のメリット
続いてBehringer UM2のメリットについて見ていきましょう。
5,000円という値段
UM2の最大のメリットは何よりも安いことです。
ここまで紹介してきたエントリーモデルはどちらも15,000円以上でした。
UM2はその3分の1の5,000円ほどで販売されています。
最低限使えるクオリティ
UM2は5,000円という低価格ながらオーディオインターフェースとして最低限使えるクオリティとなっています。
単純に機能が少ないというだけで、音質が目立って悪いわけではありません。
正しくセットアップすれば遅延などにも悩まされずに使えます。
よってUM2は「なるべく低予算で最低限使えるオーディオインターフェースがほしい」という方には最適です。
Behringer UM2のデメリット
一方でBehringer UM2には低価格なりのデメリットもあります。
作りが安っぽい
UM2は全体的にプラスティック製で安っぽいです。
上に紹介したメタルボディの製品と比べると、デザインと耐久性では見劣りします。
2つのボリュームが独立していない
UM2のボリュームはヘッドホンとOUTPUTで共通です。
つまり、ヘッドホンとOUTPUT(主にスピーカー)で別々な音量を設定することができません。
一般的なオーディオインターフェースでは2つの音量を独立して調整できるため、ここもUM2のデメリットといえます。
OUTPUTがRCA端子
UM2の不思議な仕様として、OUTPUTが端子になっています。
オーディオインターフェースのOUTPUTはTRSフォーン端子であることがほとんどです。
他のオーディオインターフェースを買ってもケーブルを使い回せません。
今から買う必要はないオーディオインターフェース
以下の2つの製品はロングセラーであったものの、今からあえて買う必要はありません。
理由は簡単で「既に後継機が出ているから」です。
ほとんどの点で後継機の方が優れているため、今からであれば最新モデルをチェックしましょう。
Steinberg UR22mkII
「Steinberg UR22mkII」は上で紹介した「UR22C」より前に販売されていたモデルです。
2015年に発売されて以来ロングセラーでした。
UR22mkIIは既に完成度が高いオーディオインターフェースで、実はUR22Cとそこまで違いはありません。
ただ192kHz/32bitではなく24bit、DSPを搭載していないなどの細かい違いがあります。
クオリティの面ではおすすめできるレベルなのですが、UR22Cを差し置いて買う必要はありません。
【UR22mkIIレビュー】CUBASEが付属するオーディオインタフェースRoland QUAD-CAPTURE UA-55
「Roland QUAD-CAPTURE UA-55」は「Rubix24」の前に販売されていたオーディオインターフェースです。
Rubix24はUA-55と比べると次のような点で格段に進歩しています。
- ボディの素材と高級感
- ボリュームの独立
- コンプレッサーの有無
生産終了となったUA-55の中古価格はなぜか高騰しています。
そのため今からRoland製のオーディオインターフェースを買うのであれば、Rubixシリーズ一択です。
【Roland QUAD-CAPTURE UA-55レビュー】初心者でも安心の全部入りオーディオインタフェースオーディオインターフェースのおすすめ まとめ
以上、1台目としておすすめのオーディオインターフェースを紹介しました。
現状としては「Steinberg UR22C」か「Roland Rubix24」(またはRubix22)を選んでおけば間違いありません。
どちらもエントリーモデルとしておすすめできるため、あとは細かい機能やバンドルするソフトの好みで選びましょう。
加えて、とりあえず接続できてなるべく安い製品ということなら「Behringer UM2」も選択肢に入ります。
上の2つほどおすすめ度は高くないものの、5,000円という安さは大きなメリットです。
それぞれの製品は個別のレビュー記事でさらに詳しく機能や特徴を紹介しています。
もっと詳しく知りたい方はそちらも参考にしてください。
これからオーディオインターフェースを買おうとしている方の参考になれば幸いです。
今回紹介したオーディオインターフェース
【Steinberg UR22C レビュー】エントリーモデルの最有力オーディオインターフェース 【Roland Rubix24レビュー】ハードウェアコンプ搭載のオーディオインターフェース 【ベリンガー UM2 レビュー】最小構成の格安インターフェース 【UR22mkIIレビュー】CUBASEが付属するオーディオインタフェース 【Roland QUAD-CAPTURE UA-55レビュー】初心者でも安心の全部入りオーディオインタフェースおすすめ記事
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