今回は、ORANGEの超小型アンプヘッド「MICRO TERROR」とキャビネット「PPC108」のレビューです。
僕は2013年6月にこの2つを一緒に買って、これまで使い続けてきました。
可愛らしいオレンジ色と小ささなサイズが特徴的ですが、音量・音質面も自宅練習には十分なレベルです。
歪みエフェクターとの相性も良好。
自宅用に小型のスタックアンプがほしい方にはおすすめです。
MICRO TERRORとPPC108が気になっている方はぜひご覧ください。
アンプヘッド ORANGE MICRO TERROR
まずはMICRO TERRORからチェック。
「マイクロ・テラー」と読みます。
MICRO TERRORは、出力20Wの小型アンプヘッドです。
そのためMICRO TERRORだけでは音は出せません。
後で紹介するようなキャビネット(スピーカー)を組み合わせて使います。
超小型のアンプヘッド
MICRO TERRORはアンプヘッドの中でもかなり小型の部類です。
お弁当箱くらいのサイズ・質量しかないので、取っ手をつかんで簡単に持ち運びできます。
このサイズ感は外に持ち出すのに便利ですし、部屋の中にあるだけでも可愛いらしくて楽しいです。
セミチューブアンプ
このアンプヘッドの一番の特徴は「セミチューブアンプ」であるということです。
パワーアンプはソリッドステート(トランジスタ)ですが、プリアンプには真空管(12AX7)が1本使われています。
半分だけチューブ(真空管)なので、セミチューブアンプというわけです。
一方、プリアンプ・パワーアンプがどちらも真空管であるアンプをフルチューブアンプと呼びます。
どちらもソリッドステートの場合は、そのままソリッドステートのアンプと呼びます。
MICRO TERRORはセミチューブアンプであるためか、20Wでもものすごい爆音が鳴ります。
音量MAXにはとてもできないレベルでした。
そのためサイズが小さいからと言って音量も小さいのではないか、という心配は全く不要です。
コントロール・入出力
つづいて、MICRO TERRORのコントロール・入出力を見ていきましょう。
アンプ前面の左から順に次のとおりです。
- 電源スイッチ
- ヘッドホン出力
- AUX IN
- VOLUMEツマミ
- TONEツマミ
- GAINツマミ
- ギター・インプット
コントロールはGAIN、TONE、VOLUMEの3つでシンプルです。
上に書いたようにGAIN、VOLUMEを上げると音量もどんどん大きくなります。
そのため自宅で使うならそこまで大きくは上げられないでしょう。
TONEはそこそこ効きます。
極端に振ると音が崩壊するので、基本的には12時を中心に微調整するくらいでOK。
MICRO TERRORには「ヘッドホン出力」がついているので、ヘッドホンで音を聴きながら練習できます。
ヘッドホンが挿してある状態では、スピーカーからの音は出なくなります。
ただ正直なところ、ヘッドホン出力の音質はあまり良くありません。
あくまでおまけ程度に考えるのをおすすめします。
もしヘッドホン練習がメインの目的であれば、ヘッドホン出力を持つマルチエフェクターを買った方が得策です。
MICRO TERRORにはAUX IN端子が備わっています。
これは外部のプレイヤー(スマホなど)から曲を流して、ギターの音とMIXする機能です。
曲に合わせながら練習したい場合は役に立ちます。
この機能を使うには、下のようなAUXケーブルが必要です。
最小抵抗値は8Ω?
本記事の執筆のためにリサーチしていて気づいたことを1つ書いておきます。
僕が持っているMICRO TERRORの最小抵抗値は4Ω(オーム)でした↓
(購入は2013年6月)
しかし今ECサイトでスペックを確認すると、ほとんど8Ωになっています。
つまり僕が購入した2013年以降に仕様が変わったのかもしれません。
ちなみに最小抵抗値が4オームでも8Ωでも、PPC108(8Ω)は使えます。
ORANGE MICRO TERRORを使った感想
ここまでORANGE MICRO TERRORの機能面について解説してきました。
次はそれを踏まえて、僕が実際に使ってみて感じたことを書こうと思います。
ポイントだけ先に書くと次のとおりです。
- 音は太くて温かい傾向
- 歪みは単体ではやや使いにくい
- エフェクターと組み合わせるのが得策
MICRO TERRORの音質
まず肝心の音質については、プリアンプに真空管が使われていることもあり全体的に太くて温かい音がします。
これは完全にソリッドステートのアンプとは明らかに違う特徴です。
クリーンサウンドは良くも悪くもこんもりした感じで、透き通った音ではありません。
ここは好みが分かれるところで、透き通った音を好むのならやはりソリッドステートに分があります。
反対に「マイルド」や「ウォーム」と表現される音を求めるなら、MICRO TERRORのクリーンは悪くありません。
GAINツマミで作るアンプ本体の歪みについても丸い感じの音で、そこまで深くは歪みません。
GAINを上げると歪みも深くなりますが、上に書いたようにものすごく爆音になります。
するとVOLUMEを0ギリギリまで思いっきり下げないといけないので、使い勝手はあまり良くないかなと思いました。
ただこの価格で真空管のウォームな音を楽しめるという点では、MICRO TERRORは面白い製品です。
そこそこの音量を出せる環境であれば特に楽しめるアンプだと思います。
エフェクターとの組み合わせがおすすめ
そういうわけでMICRO TERRORはアンプ単体では使い勝手が良いとはいえません。
しかしエフェクターと組み合わせるともっと使いやすくなりました。
まずクリーンな設定では音量はそこまで大きくなりません。
そこにエフェクターの歪みを加えてやれば、音量をほとんど大きくすることなく深いディストーションサウンドも作れます。
MICRO TERROR自体が丸い感じの音なので、ドンシャリ系のエフェクターの方が向いていると思いました。
例えばBOSS DS-1XやBOSS DS-1などがそれにあたります。
反対に、アンプと同じような傾向の中音域が目立つエフェクターだとキャラクターが被ってくどく感じます。
というわけでMICRO TERRORを使うのであれば、アンプ直ではなくエフェクターの使用を前提とするのがおすすめです。
【BOSS DS-1X レビュー】上品な歪みの優等生エフェクター おすすめのディストーションエフェクター【エレキギター用】キャビネット ORANGE PPC108
ORANGE PPC108は、同ブランドのMICRO TERRORとマッチするように設計されたギターキャビネットです。
仕様は次の通り。
- 最大電力:20W
- 抵抗:8Ω
- スピーカーサイズ:8インチ×1
製品名から読み取れるとおり、8インチのスピーカーが1つ使われています。
価格は1万円もしないのですが、アマチュアの自宅使用なら十分なくらい作りはしっかりしている印象です。
ORANGEのどぎついオレンジ色がキレイで、インテリアとしてもなかなか使えます。
いくつものキャビネットを弾き比べた経験がないので、PPC108自体の音の傾向はわかりません。
ですがこれと言ってクセはないと思います。
MICRO TERROR以外でももちろんOK
PPC108は他のアンプヘッドでも問題なく使えました。
MICRO TERROR以外に実際に試したのは次の3つです。
すでにアンプヘッドを持っている場合で、キャビネットとしてPPC108だけ買うという選択も大いにアリです。
その場合、アンプは電力が20W以下、抵抗値が8Ωに設定できる必要があります。
スピーカーを交換可能
キャビネットの裏ぶたを開けると、スピーカーを交換できます。
はんだ付けが不要なタイプ(ソルダーレス)でした。
現在はCelestion Eight 15というスピーカーに変えて使っています。
スピーカーユニットの交換に興味がある方は下の記事もあわせてご覧ください。
ギターキャビネットのスピーカーを交換する方法【PPC108で解説】小型キャビネットとしておすすめ
日本の住宅事情を考えると、大きなキャビネットを用意しても実力を発揮するのは難しいものがあります。
すると宝の持ち腐れ感が否めません。
それなら8インチ×1くらいの大きさでも自宅用なら十分だと思います。
PPC108は見た目の点からインテリアとしても優れているので、小型キャビネットの選択肢としておすすめです。
ORANGE MICRO TERROR & PPC108 レビューまとめ
以上、ORANGEのMICRO TERRORとPPC108のレビューでした。
どちらも自宅用小型アンプ&キャビネットとして良い選択肢だと思います。
使い方としては、単体ではなく歪みエフェクターと組み合わせて使うのがおすすめです。
もちろんこの2つはセットである必要はありません。
既にキャビネットをお持ちの方はMICRO TERRORだけ導入してもいいですし、手頃なキャビネットをお探しの方はPPC108だけでもOKです。
気になった方はぜひチェックしてみてください。
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