この記事では、フロイドローズ式のブリッジを持つギター(ロック式ギター)で弦交換する方法を解説します。
下のような複雑な形をしたブリッジを一般に「フロイドローズ」タイプと呼びます。
フロイドローズといっても色々なタイプがあり、それぞれ形が少しずつ違います。
しかし本質的な仕組みはどれも同じであるため、今回紹介する方法はほとんどの場合に参考にしていただけます。
フロイドローズの弦交換でお困りの方はぜひご覧ください。
変則的な張り方もおすすめ
フロイドローズには、ボールエンドを切らない変則的な弦交換もあります。
変則的な弦交換の方が手間やトラブルも少ないため、こだわりがなければこちらの張り方がおすすめです。
フロイドローズで弦を逆に張る方法【ボールエンドを切らない】フロイドローズの弦交換の手順
1.ロックナットを外す
まずはヘッドのネックの間についているロックナットの固定を外しましょう。
六角レンチなどで反時計周りに回すと外れます。
外したナットは失くさないように保管しておいてください。
2.【重要】ブリッジの下に布をはさむ
ブリッジの下に厚手の布(タオルなど)をはさんでおくと、ブリッジが沈んでしまうのを防げます。
この一手間はブリッジの角度を維持したり、弦がすっぽ抜けるのを防ぐのに有効です。
アームを使ってブリッジを思いっきり上げると、布を奥までしっかりとはさめられます。
3.弦をゆるめる
以上の準備ができたら、ペグを回して弦をゆるめましょう。
音がまともに鳴らないくらい思いっきりゆるめてください。
ストリングワインダーを使うと手よりも簡単にペグを回せます。
ストリングワインダーの比較とおすすめ【ギター向け3機種】4.弦を外す
続いて古い弦を弦を外していきます。
まずはブリッジ側から。
フロイドローズではサドルに弦がロックされています。
※サドル…弦に直接触れているパーツ
六角レンチなどを使ってロックを解除し、弦を外しましょう。
同じ要領で6本とも外します。
ストリングポストの方でも弦を外しましょう。
※ストリングポスト…弦が巻きついているパーツ
巻きついている弦で手にケガをしないように気をつけてください。
5.新しい弦をブリッジに固定する
古い弦を外したところで、新しい弦を張る作業に移りましょう。
フロイドローズでは、弦のボールエンドを切り落として使います。
4~6の巻弦を切るときは、「太い部分を少し残す」のがポイントです。
太い部分を少し残すと、中央の見えない軸の線がズレないメリットがあります。
1~3のプレーン弦については、太い部分がないのでそのまま切って大丈夫です。
ボールエンドを切った方の端を、サドルの穴に差し込みます。
このとき「穴の奥までしっかり差し込む」のを意識しましょう。
差し込みが浅いと後で弦がすっぽ抜ける原因になります。
奥まで差し込んだら、六角レンチなどを使ってサドルを固定します。
このとき馬鹿力で締める必要はなく、軽く締めたところから30~45度くらい締め込めばOKです。
同じ要領で6本とも固定します。
ここで「弦に軽く折り目をつける」のがポイントです。
あくまで軽くでかまいません。
こうして弦の方向性を決めておくと、弦のねじれやサドルから外れる現象を防げます。
6.新しい弦をストリングポストに巻く
続いてストリングポストの作業に移ります。
ナットの溝、ストリングポストの穴にまっすぐ弦を通し、4.5~5.5cmの部分をつまみましょう。
長さは次の表が目安となります。
1,2弦 | 4.5cm |
3,4弦 | 5.0cm |
5,6弦 | 5.5cm |
これはあくまで目安なので、シビアになる必要はありません。
このように長さを取っておくと、ストリングポストに巻きつく回数が多くなります。
すると、後で弦がすっぽ抜ける問題に直面した際に対処しやすくなります。
同じ部分をつまんだまま、弦をストリングポストまで戻します。
そしてストリングポストを角として横に90度折り曲げます。
折り返した分も含めて弦を引っ張りながら、ペグを回します。
ストリングポストに対して弦が上から下へ巻きつくようにしましょう。
弦が1周くらい巻きついたら、折り返した分は離しても大丈夫です。
そこからは下の写真のように弦を押さえると正しく巻きつけやすくなります。
ここからの作業では、余った方の弦が目に入らないように注意してください。
こういった手順で6本とも巻きつけましょう。
この時点ではある程度の張力をかけるだけでよく、音程は気にしなくてOKです。
7.後処理
6本とも弦を張り終わったら、まずはチューニングをしてみましょう。
フロイドローズ(ロック式ギター)のチューニング方法重要なポイントとして、フロイドローズのギターでは何周もチューニングしないと音程が合いません。
これはフロイドローズの構造上、全ての弦が互い強くに影響し合っているからです。
弦を張った直後であれば、全体のバランスが取れるまでチューニングは5周以上必要になります。
これは故障ではないので安心してください。
無事チューニングできたら、ストリングポスト側で余った弦をニッパーで切りましょう。
余った弦を真上に向けてから切れば、弦を張った後でもヘッドの表面を掃除しやすくなります。
目安として余った弦は5mmくらい残せばOKです。
切り取った弦は下のように丸めておくと処分しやすいです。
自治体のルールに従って処分しましょう。
余った弦を切ると、その衝撃でチューニングがズレることがあります。
そのため、もう一度チューニングをしておきましょう。
クリップチューナーのおすすめ【初心者用から高精度モデルまで】
チューニングが合った状態でロックナットの固定を戻します。
これもちょっと力を入れるくらいで大丈夫です。
以上の弦交換の作業は完了です。おつかれさまでした。
弦交換からしばらくはチューニングが安定しません。
これは弦が伸び切っていないのが原因で、全てのギター、全ての弦で起こる現象です。
そのためチューニングが安定するまでは頻繁にロックナットを外してチューニングし直しましょう。
手で軽く引っ張ったり、ストリンストレッチャという道具を使ったりするとチューニングの安定を早められます。
【ストリングストレッチャの使い方】チューニングの安定を早める道具フロイドローズの弦交換 おわりに
以上、フロイドローズ式のブリッジを持つギターで弦交換する方法を解説しました。
具体的なブリッジによって仕様は違いますが、本質的には同じ方法で弦交換できるはずです。
フロイドローズに限りませんが、弦交換の方法には絶対的な正解はありません。
いろいろな情報を見ると、それぞれ書いていることが少しずつ違うことに気づくでしょう。
そのためこの記事も参考の1つとして、他にもっと良い方法があればそちらも取り入れてみてください。
ロック式ギターをお持ちの方の参考になれば幸いです。
この記事で使用したギター:Ibanez S420
フロイドローズの関連記事
フロイドローズで弦を逆に張る方法【ボールエンドを切らない】 フロイドローズから弦が外れる問題とその対策 フロイドローズの弦高調整【Ibanezを例に解説】 Ibanezのギターのトレモロブリッジを水平にする方法 フロイドローズ(ロック式ギター)のチューニング方法