この記事ではクリップチューナーのおすすめ製品を紹介します。
主にギタリストの目線からそれぞれの特徴をまとめました。
これからクリップチューナーを買おうとしている方はぜひご覧ください。
おすすめする製品を先にまとめると次のとおりです。
- tc electronic – POLYTUNE CLIP
→クリップチューナーの頂点 - tc electronic – UNITUNE CLIP
→POLYTUNE CLIPのシンプル版 - KORG – Pitchclip2
→安くて使いやすい - D’Addario micro tuner PW-CT-12
→最小サイズ - PLAYTECH CLIP TUNER
→最安モデル
クリップチューナーの基礎知識
まずはクリップチューナーを選ぶ上で知っておくべき点についてまとめておきます。
おすすめだけ知りたいという方は読み飛ばしても大丈夫です。
クリップチューナーのメリット
クリップチューナーとは、その名のとおり「クリップで楽器に取り付けられるチューナー」のことです。
例えばエレキギターの場合はヘッドを挟んで取りつけられます。
チューナーには他にもペダル型やカード型がありますが、クリップ式には次のようなメリットがあります。
- 楽器と一体化できるため邪魔にならない
- ケーブルで繋がなくていい
- 製品によっては精度も高い
クリップチューナーはそれ自体が小型であり、楽器に直接取り付けられつため省スペースです。
ケーブルで接続はしないものの、ペダル型に負けない精度のモデルもあります。
これらを総合すると、あらゆるタイプのチューナーの中で、クリップ式は最も使い勝手で優れていると言えます。
クリップチューナーを選ぶポイント
人によってチューナーに求める性能や予算は違うため、一概にどれがおすすめとは言えません。
そこでクリップチューナーを選ぶ際には次のポイントに注目してみましょう。
- 値段
- チューニングの精度
- 角度調整
- 基準音調整(キャリブレーション機能)
値段
クリップチューナーの相場は500円~5,000円とピンキリです。
精度や機能を求めるとそれだけ値段も高くなります。
チューニングの精度
チューナーの精度は「±XXXセント」と表されます。
例えば「±1.0セント」とあれば、誤差1.0セントの範囲内でチューニングできるという意味です。
数値が小さいほど正確なチューニングができます。
これはあくまで仕様上の数値ではあるものの、チューナーの精度を知る上で重要な目安にはなります。
角度調整
クリップチューナーを使う上で「どれだけ見やすく取りつけられるか」は重要です。
角度調整や画面表示が優れているほど、どんな場合でも見やすく取りつけられます。
基準音調整(キャリブレーション機能)
チューニングの基準となる音を「基準音」や「リファレンストーン」と呼びます。
普通にギターやベースを弾く分には基準音はA=440Hzを使えばOKです。
しかし地域や楽器によっては440Hz以外を基準音とすることもあります。
そこでチューナーに求められるのが「基準音の調整機能」です。
キャリブレーション機能とも呼ばれます。
チューナーには基準音を調整ができるものも、440Hz固定のものもあるため、あらかじめチェックしましょう。
おすすめ1. tc electronic POLYTUNE CLIP
「tc electronic POLYTUNE CLIP」はクリップチューナーの頂点とも言える製品です。
5,000円と値は張るものの、精度・機能など総合的に見てこれに勝る製品はありません。
値段相場 | 5,000円前後 |
精度 | 最小±0.02セント |
基準音 | 435~445Hz |
重さ | 32g |
電池寿命 | 最大18時間 |
オートパワーオフ | 3分 |
3つのチューニングモード
POLYTUNE CLIPには以下の3つのチューニングモードが搭載されています。
- ポリフォニック・モード
- ストロボ・モード
- クロマチック・モード
ポリフォニック・モードは6弦全てを同時にチューニングする画期的な機能です。
弦をジャラーンと鳴らすだけでそれぞれの音程を個別に検知。
この機能があるのはクリップチューナーの中ではPOLYTUNE CLIPだけです。
ストロボ・モードでは±0.02セントの超高精度チューニングが可能。
横線の動きを使うことで、メモリでは表現しきれないごく僅かな音程のズレまで表せます。
±0.02セントというのは、ペダル型を含めても最高峰の精度です。
クロマチック・モードは一般的な針が動くタイプのモードです。
直感的にチューニングできるのがクロマチックのメリット。
精度は±0.5セントとストロボほどは高くないものの、依然としてチューナーの中では特に高精度な部類です。
基準音を435~445Hzで調整
POLYTUNE CLIPは基準音を435~445Hzの範囲で1Hz刻みで調整できます。
これによりギターやベース以外の特殊な楽器にも対応。
操作は側面のボタンを押すだけなので簡単です。
POLYTUNEプラグインが付属
POLYTUNE CLIPには「POLYTUNE」というチューナープラグインが付属します。
これは本来$49の有料プラグインですが、付属するコードを適用すれば無料DL可能。
POLYTUNE CLIPのようにポリフォニック、ストロボ、クロマチックチューニングがPC上で使えます。
Polytuneプラグインの入手方法と使い方【クーポンコードで無料】
POLYTUNE CLIPには他にも、ニッチな需要に応える機能が数多くあります。
この記事では紹介しきれないので詳しくはこちらの個別レビューをご覧ください↓
【POLYTUNE CLIP レビュー】6弦同時チューニング可能なクリップチューナーおすすめ2. tc electronic UNITUNE CLIP
同じくtc electronicの「UNITUNE CLIP」は上に紹介したPOLYTUNE CLIPの兄弟機です。
見た目は全く同じですが、細かい機能がいくつか削られシンプルになっています。
価格も1,000円ほど安く、およそ4,000円。
最小精度の±0.02セントは同じなので、POLYTUNE CLIPほど機能はいらないという方にはこちらがおすすめです。
値段相場 | 4,000円前後 |
精度 | 最小±0.02セント |
基準音 | 435~445Hz |
重さ | 32g |
電池寿命 | 最大18時間 |
オートパワーオフ | 3分 |
POLYTUNE CLIPとの違い
UNITUNEとPOLYTUNEは、ロゴ以外の見た目は全く同じです。
一方、機能面では次のような違いがあります。
- ポリフォニック・モードの有無
- ギター・ベースモードの有無
- ドロップ・カポ対応の有無
一番の違いは、6弦同時チューニングの「ポリフォニック・モード」があるかないかです。
UNITUNE CLIPにはこれがなく、ストロボとクロマチックの2種類のみになっています。
この2つのモードだけに注目すればUNITUNEとPOLYTUNEで違いはありません。
ストロボモードではチューナーとして最高クラスの±0.02セントでチューニングできます。
ポリフォニック・モード以外にも違いがありますが、これらはかなりニッチな機能です。
ないよりある方がいいでしょうが、ほとんどの方はUNITUNE CLIPの機能だけでも十分ではないかと思います。
【UNITUNE CLIP レビュー】高精度クリップチューナーの決定版おすすめ3. KORG Pitchclip2
安くて使いやすいクリップチューナーをお探しの場合は「KORG Pitchclip2」をおすすめします。
Pitchclip2はとてもシンプルな作りで、値段は1,000円程度とリーズナブル。
精度は普通で機能も多くないものの、初心者が最初に揃えるチューナーとしては十分です。
主な仕様は次のとおり。
値段 | 1,000円前後 |
精度 | ±1.0セント |
基準音調整 | 440Hz固定 |
重さ | 17g |
電池寿命 | 最大24時間 |
オートパワーオフ | 3分 |
精度は±1.0セントと普通
KORG Pitchclip2の精度は±1.0セントであり、クリップチューナーの中では並レベルです。
上に紹介したUNITUNE CLIPのような高精度なチューナーと同時に使ってみると、Pitchclip2では微小な誤差を拾えていないこともあります。
しかしそれはものすごく細かいレベルの話であって、ちょっとチューニングするには十分な精度です。
そこまで精度にこだわらず安くチューナーを用意したいという方にはおすすめできます。
シンプルで使いやすい
KORG Pitchclip2の作りはとてもシンプルです。
画面がクリップから120度まで起き上がって角度調整できます。
120度起こした状態でギターのヘッドに取りつけるとちょうど見やすい角度になります。
基準音は440Hz固定
KORG Pitchclip2は基準音の調整ができません。
440Hzで固定です。
ほとんどの方は440Hzしか使わないはずなのでこの仕様は問題ないでしょう。
一方、440Hz以外に設定するつもりの方はPitchclip2ではなく、UNITUNE CLIPなど基準音を調整できる他の製品をチェックしてください。
画面の上下反転
KORG Pitchclip2は1,000程度のチューナーながら、画面の上下反転機能が備わっています。
Pitchclip2の電源ボタンを長押しして起動すると、通常とは逆さまの表示になります。
こちらが上下反転で起動したときの様子です。
「A」の文字が逆さまになっているのが分かるでしょう。
この機能は左利きのギターやヘッドの裏に取り付けるなど、本来は逆さになってしまう場合に便利です。
【KORG Pitchclip 2レビュー】クリップチューナー入門機の決定版おすすめ4. D’Addario micro tuner PW-CT-12
クリップチューナーの小ささにこだわる方におすすめなのは「D’Addario Micro Headstock Tuner PW-CT-12」です。
(以下、PW-CT-12)
小ささはクリップチューナーに共通するメリットですが、PW-CT-12ほど小さいモデルはありません。
またPW-CT-12は基準音調整の幅が広いのも特徴です。
値段相場 | 1,500~2,500円 |
精度 | 非公表 |
基準音調整 | 410Hz~480Hz |
重さ | 14g |
電池寿命 | 非公表 |
オートパワーオフ | 10分 |
超コンパクトサイズ
D’Addario PW-CT-12の一番の特徴はそのコンパクトさです。
純粋な画面だけでいえば19mm×7mm四方しかありません。
ギターのヘッドに取りつけた様子がこちらです。
他のクリップチューナーと比べても明らかに小さいのが分かるでしょう。
物理的に邪魔にならないだけでなく「ギターに何かを付けている」という感覚も少ないです。
画面の見やすさという点では他の製品に比べて見劣りするものの、普通に使う分には問題はありません。
精度は非公表だが高い
D’Addario PW-CT-12の仕様上の精度は公表されていないため、何セントの精度とは言えません。
しかし高精度チューナーUNITUNE CLIPと同時に使ってみたところ、ほとんど変わらない反応を示しました。
よってPW-CT-12は最高レベルの精度とは言えないとしても、クリップチューナーの中では精度の高い部類ではあります。
少なくとも1,000円程度の製品よりは優れており、細かい誤差まで検出可能です。
画面の4方向回転
D’Addario PW-CT-12はこれほど小さな製品であるにもかかわらず色々な機能を備えています。
その1つが画面の方向回転です。
下の写真のように、画面の向きを4方向に切り替えられます。
「A」の文字が4つの向きに変わっているのが分かるでしょう。
この機能のおかげで、右利き用でも左利き用でも見やすい向きで表示できます。
画面の向きはスイッチ1つで簡単に回転できます。
PW-CT-12の画面はクリップに対しても360度回転します。
画面表示とクリップ回転によって、どんな場合でも画面を見やすい方向に向けられます。
1つ難点を挙げるなら、PW-CT-12のクリップは洗濯ばさみのようにはなっておらず片手では扱いにくいです。
最初は取りつけづらく感じますが、慣れてくると片手でもサクッと取りつけられるようになります。
幅広い基準音調整
基準音調整の幅が広いのもD’Addario PW-CT-12の特徴の1つです。
クリップチューナーの基準音は固定か、調整できても±5~10Hzの場合が多い中、PW-CT-12は410~480Hzの幅で調整できます。
ここまで調整幅が広いチューナーは珍しいです。
上に紹介したボタンを押していくと1Hzずつ切替可能。
【D’Addario PW-CT-12レビュー】最小・最軽量のクリップチューナーおすすめ5. PLAYTECH CLIP TUNER
PLAYTECH CLIP TUNERはクリップチューナーの中で最安クラスの製品です。
サウンドハウスでの価格はおよそ550円。
安っぽさはあるものの、ちょっとしたチューニングであれば十分使えます。
値段相場 | 550円 |
精度 | ±1.0セント |
基準音調整 | 440Hz固定 |
重さ | 23g |
電池寿命 | 非公表 |
オートパワーオフ | 3分 |
画面が見やすい
PLAYTECH CLIP TUNERは画面が見やすいのがメリットです。
ディスプレイは19mm×28mmと普通サイズ。
チューニングが合ったときに画面全体が緑色に光り、アルファベットも大きく表示されます。
精度は普通
550円程度というだけあって、精度はそこまで高くはありません。
公表値は±1.0セント。
高精度なチューナーと同時に使ってみると、細かい誤差までは拾えていないのが分かります。
とはいっても普段のチューニングには十分ではあります。
例えばギター初心者が最初に揃えるチューナーとしてなら全く問題はありません。
柔軟な角度調整
角度調整が柔軟なのもPLAYTEC CLIP TUNERの特徴です。
クリップの向きを変える可動部が2つついており、それぞれ360度、180度ずつ回転します。
おもちゃっぽい
値段が値段であるため、全体的におもちゃっぽいです。
デザイン性を求める方には向かないでしょう。
【PLAYTECH CLIP TUNERレビュー】最安のクリップチューナー【サウンドハウス製】おすすめできないクリップチューナー
ここまでに紹介したクリップチューナーはどれも、予算や求める機能にマッチしていればおすすめできる製品です。
一方で、僕が実際に使った中には積極にはおすすめできない製品もありました。
逆の意味で参考になると思われるので紹介しておきます。
YAMAHA YTC5
「YAMAHA YTC5」は横向きのメーターが直感的なクリップチューナーです。
可動部が2箇所もあるため柔軟性も一見すると高そうに思えます。
値段は1,000円程度とリーズナブル。
値段 | 1,000円程度 |
精度 | ±0.5セント |
基準音調整 | 440Hz固定 |
重さ | 28g |
電池寿命 | 最大25時間 |
オートパワーオフ | 7分 |
しかしYTC5には、ギターのヘッドに普通に取りつけると画面の上下が逆さまになってしまうという致命的なデメリットがあります。
画面の上下を直すと、今度は向きが合わず前から覗き込まないと表示が見えません。
画面の上下と向きのどちらも揃えるには、ヘッドの裏に取りつける必要があります。
YAMAHA YTC5にしかないメリットは特にないため、あえてこの製品を選ぶ必要はないと思います。
1,000円&基準音440固定という条件であれば、使い勝手に優れた「KORG Pitchclip2」の方がおすすめです。
YAMAHA YTC5について詳しくは下記のレビューも参考にしてください。
【YAMAHA YTC5レビュー】画面の向きが惜しいクリップチューナークリップチューナーのおすすめ まとめ
以上、実際に使ってきたクリップチューナーの中からおすすめを紹介しました。
内容をまとめると次のとおりです。
- tc electronic – POLYTUNE CLIP
→クリップチューナーの頂点 - tc electronic – UNITUNE CLIP
→POLYTUNE CLIPのシンプル版 - KORG – Pitchclip2
→安くて使いやすい - D’Addario micro tuner PW-CT-12
→最小サイズ - PLAYTECH CLIP TUNER
→最安モデル
人によって予算や求める機能は違います。
例えば全くの初心者であれば、そこまで精度にこだわる必要はありません。
入門機としては「KORG Pitchclip2」や「PLAYTEC CLIP TUNER」をチェックしてみるのをおすすめします。
一方、精度や機能にこだわるなら「POLYTUNE CLIP」「UNITUNE CLIP」など、値は張るものの高品質なモデルを検討してみてください。
サイズや機能という点では「D’Addario PW-CT-12」も有力な選択肢です。
クリップチューナーをお探しの方の参考になればと思います。
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