今回はアンプシミュレータ「BIAS FX 2」の上位グレードである「Professional」版のレビューです。
BIAS FX 2にはStandard、Professional、Eliteの3つのグレードがあり、グレードが上がるにつれてエフェクト数や機能が増えていきます。
※以下、Proと表記
StandardからProにアップグレードして実際に使ってみました。
先に要点だけ書くと次のとおりです。
- 追加のアンプ・エフェクトで音作りの幅がさらに広がる
- 新機能のIRローダーがとても便利
- 新しいアンプ・エフェクトの方が音が良いわけではない
総合するとBIAS FX 2でさらに深い音作りをしたいのであればProにアップグレードする価値は大いにあると思います。
ただし「Proにアップグレードする=無条件に良い音になる」ではないことには注意。
これからProfessional版の購入を考えている方はぜひご覧ください。
Standardとの違い
StandardからProにアップグレードすると何が変わるのか見ていきましょう。
BIAS FX 2全体のコンセプトについては下のレビュー記事をご覧ください。
【BIAS FX 2 レビュー】初代からさらに進化した高音質ギタープラグイン
エフェクトや機能の違いをまとめると次のとおりです。
Standard | Professional | |
アンプ | 30 | 60 |
エフェクト | 43 | 115 |
ラックエフェクト | 0 | 14 |
ファクトリープリセット | 70 | 130 |
Guitar Matchのモデル | 4 | 8 |
IRローダー | × | ○ |
MIDIオートメーション | × | ○ |
アーティストプリセット | × | ○ |
アンプ・エフェクト
一番分かりやすい違いは使えるアンプとエフェクトの数です。
アンプは30→60と2倍になり、エフェクトも全体で3倍近くまで増えています。
例えば「HI GAIN」カテゴリのアンプに関しては次の8つが追加されました。
- BE 101
- Black Bull
- Ecstasy 101 V2
- German Fire V2
- High Gain EL34 V2
- Insane SATAN V2
- Modded Mark llc+ V2
- Slayer King
- Snake’s Lead 800 V2
アンプ・エフェクト数が増えればもちろんそれだけ音作りの幅が広がります。
合計すると189種類もあるため、正直言って全てを使いこなすことはできていません。
しかしシミュレータである以上は、選択肢が多い方が使っていて単純に楽しいです。
特に、個人的によく使うハイゲイン系のアンプが増えたことでイメージした音にたどり着きやすくなりました。
「新しいエフェクト=音が良い」ではない
新旧のアンプを弾き比べてみたところ「新しく追加されたアンプ・エフェクトの方が音が良いわけではない」と気づきました。
全てのアンプはそれぞれ個性があるというに過ぎず、クオリティ・作り込みの点では同じだと思います。
つまりStandardからProにアップグレードしたからといって、自動的に音がよくなるわけではありません。
純粋に音の選択肢が増えるだけです。
この点ではBIAS FX 2はAmplitube4と違います。
Amplitube4では上位のギア(アンプやエフェクトのこと)の方が明らかにクオリティが高く、個別に購入する場合も高価でした。
【AmpliTube4 レビュー】ブランド公認モデルが素晴らしいシミュレータソフトIRローダー
個人的にProfessionalの目玉の1つは「IRローダー」の機能です。
IRローダーが備わったことで、理想的な音作りがさらにしやすくなりました。
IR(Impluse Response)はキャビネットやマイクの特性を記録したWAVファイルのことです。
簡単に書くと、IRはシミュレータソフトの中で「キャビネットシミュレータ」として機能します。
IR(Impulse Response)とは何か – ギター用のおすすめも紹介
BIAS FX 2はStandardでもIRを使う方法が一応あります。
BIAS FX 2のキャビネットをOFFにし、DAW上でNadIRなど他のIRローダーと組み合わせれば、IRを使った音作りが可能です。
ただしこのやり方は少し面倒なのと、スタンドアロンでは使えないのがデメリットでした。
詳しいやり方はこちらの記事をご覧ください。
BIAS FX STANDARDでもIRを使う方法
ProではIRローダーがBIAS FX 2の機能の1つとして追加されたことで、使い勝手が飛躍的に良くなりました。
上に紹介した方法のように面倒なことはなく、アンプやエフェクトを選ぶのと同じくらい簡単にIRを使えます。
IRローダーを使うには、IRで置き換えたいキャビネットをクリックして、メニューから「IR LOADER」を選択。
「FACTORY IR FILES」には、最初から3つのIRファイルが入っています。
IRファイルを持っていない場合、まずはこれらを試してみるといいでしょう。
「USER IR FILES」には自分でIRファイルを追加できます。
この画面の例では、自分で用意したIRファイル3つが表示されています。
キャビネットをIRで置き換えると、下のようにIR専用の設定画面になります。
BIAS FX 2のアンプを並列にする機能は、IRローダーを使うときに役立ちます。
IRファイルは異なるマイクに対応するものを2つ同時に使うことが多いです。
「Dual」モードで並列にしたアンプそれぞれにIRを組み合わせれば、2つのIRを使うことも可能。
個人的には、クオリティの高いIRを使うことがシミュレータでの良い音作りへの近道だと考えています。
よってIRローダーは単なる追加機能ではなく、音質をさらにグレードアップさせる重要なツールです。
IRを使った音作りがしたい方にとっては、Professionalへのアップグレードは特に価値があると思います。
IRファイルをお探しの方には「OwnHammer」というサイトで販売されているものがおすすめです。
【リンク】OwnHammer Store
OwnHammerのIRと買い方の紹介有料ではあるもののクオリティが高く、使いこなせばBIAS FX 2だけではたどり着けないリアルな音質が期待できます。
今は無料のIRを使っているという方もぜひ一度チェックしてみてください。
Guitar Match
Guitar MatchはBIAS FXが2になってから新しく追加された機能です。
エレキギターそのものをシミュレートすることで、例えば「レスポールからストラトの音を出す」といった使い方ができます。
BIAS FX2のGuitar Match機能の紹介Guitar MatchはStandardでも使える機能ですが、Proにアップグレードするとシミュレートできるギターの種類が4→8に増えます。
Proで選べる8つのギターモデルは次のとおり。
- ’57 Goldtop Reissue
- SHR Antique
- CU22
- YJM Signature
- ’52 Reissue T
- 35 Dot Custom Classic
- JM Pro SHR
- RR Signature V
Guitar Matchで選べる新しいモデルは購入動機としては弱いものの、あるに越したことはありません。
特にギターを1本しか持っていない方はGuitar Matchを使うメリットが大きいです。
BIAS FX 2 Professionalの値段
BIAS FX 2 Professionalの値段は次のとおり。
- スタンダードからアップグレード:$99
- 最初からProを購入:$199
ただしこれは定価であり、セール時にはもっと安く買うことができます。
僕も40%オフのときに$60、当時のレートで6,624円でアップグレードしました。
セールは割と頻繁にやっているので、急ぎでなければセールを待ってから買うのがおすすめです。
またBIASシリーズのソフトは常に差額でアップグレードできます。
よって、まだBIAS FX 2自体を持っていない方は、いきなりProを買うのではなくまずはStandardを使ってみるのがいいでしょう。
BIASシリーズ(FX/AMP/PEDAL)の買い方と注意点まとめBIAS FX 2 Professional レビューまとめ
以上、BIAS FX 2 Professionalのレビューでした。
まとめると、ProグレードはBIAS FX 2をさらに使い込んで音作りしたい方であれば買って損はないと思います。
まず何よりもエフェクトが増えるのがメリットです。
Standardにはなかった個性のあるアンプ・エフェクトを使えば、さらに音作りがしやすくなります。
音作りという点ではIRローダーの存在も重要です。
BIAS FX 2の内部でも簡単にIRを読み込めるようになったため、使い勝手も大幅に良くなりました。
ただしProのアンプやエフェクトがStandardより優れているわけではないので、そこは注意が必要です。
Proへのアップグレードや購入を考えている方の参考になればと思います。
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