今回は、IRについて次のような内容を解説します。
- IRとは何なのか、何ができるのか
- どうやって使うのか
- どうやって手に入れるのか
IRについて知りたい方、これからIRを使ってみたい方はぜひご覧ください。
後半ではおすすめもご紹介します。
IRとは何か。
簡単に言えば、IR(Impulse Response)とはギターのキャビネットやスピーカー、マイクをまとめてシミュレートしたファイルです。
近年ギターの機材をシミュレートする技術が進歩しており、ありとあらゆるものがコンピュータ上で再現できるようになりました。
分かりやすいのはアンプシミュレータで、これは文字通りアンプをシミュレートするソフトや機能を指します。
昔からあるマルチエフェクターはエフェクターをたくさんシミュレートしたものです。
最近ではギター本体の特性さえもシミュレートしようとするソフトも目にするようになりました。
(例:BIAS FX2)
IRもこれらと方向性は全く同じです。ざっくり言えば、IRはキャビネットシミュレータと呼んでもあながち間違いではありません。
IRはただのWAVファイル
ではIRとは具体的に何なのかというと、実はただのWAVファイルです。
長さは1秒程度であり、音楽ファイルなので再生もできます。
実際に再生すると、「ブツッ」という音が聞こえてきます。
たったこれだけのファイルがキャビネットの特性を再現したものだというのは、納得できないかもしれません。しかし、そういうものなのです。
1秒ほどのファイルでも、モノによって音に与える影響は大きく違います。
いろんな機材に入れて使える
IRの最大のメリットは、ただのWAVファイルであるがゆえに、色んな機材に入れて使えることです。
近年シミュレート機材の中で、外部からIRを読み込める製品が増えてきました。
それらの製品には最初からIRに相当するものが組み込まれていますが、他にもっと良いIRがあれば、そちらも使えるようになっています。
つまり、IRは共通規格なのです。
まるで車のタイヤを交換するように、IRに対応する機材ではキャビネットシミュレータを交換できるのです。
ではIRを読み込めるのは一部の高級な機材だけなのかというと、そんなことはありません。
キャビネットをシミュレートする機能を持つ機材であれば、1~2万円の製品でもIRが読み込める製品が増えてきました。
2019年でもそういう情勢なので、これからはもっと増えていくと思われます。
IRを読み込む例
IRを実際に使うには、何らかの機材やソフトで読み込むことになります。
大きく分けて次の2パターンが多いです。
- マルチエフェクターやアンプシミュレータ(ハードウェア)
- IRローダー(ソフトウェア)
マルチエフェクターで読み込む
マルチエフェクターMOOER GE150という機材を用いてIRを読み込む様子をご紹介します。
GE150は2万円と安価な製品ながら、キャビネットシミュレータ部にIRを読み込む機能があります。
具体的な操作は機材によって変わりますが、IRを読み込むイメージがつかめるはずです。
1.IRのファイルを用意する
まずは機材に読み込むためのIRファイルをPC上で用意します。
(ファイルを手に入れる具体的な方法を後ほど解説します)
2.機材を接続する
IRを転送するために、PCとGE150をつなぎます。
3.エディタを使う
GE150にはPC上でプリセットを編集できる専用ソフト(エディタ)があります。
「CAB」の項目からIRの追加を選んで、ファイルを選択。
GE150の場合、これだけでIRの読み込みは完了です。
キャビネットシミュレータの1つとして使えるようになりました。
GE150のエディタの使い方:プリセット編集とIRの読み込みIRローダーソフトで読み込む
一方、PC上のソフトウェアでIRを読み込む使い方もあります。
IRを読み込んでキャビネットシミュレータとして機能するソフトを、一般にIRローダーといいます。
有名なのは「NadIR」というソフトです。
無償で提供されているため、誰でもすぐに利用できます。
使い方は下の記事で解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
NadIRのインストールと使い方の解説【無料のIRローダーソフト】IRを手に入れる方法
IRはネットで無料で配られていたり、有料で売られていたりします。
「とりあえずIRを使える環境があるから試しに使ってみたい」という場合、まずは無料をものを試してみましょう。
無料といっても高品質なものはたくさん見つかります。
また、無料のものは有料版のお試し版という位置づけであることが多いです。
以下、IRをフリーでDLできたり、有料の製品を買えたりするサイトをいくつかご紹介します。
F884 SOUND LAB
F884 SOUND LABはIRを販売している国内のサイトです。
海外のサイトから買うことに不安がある方も、ここなら少し安心できるかと思います。
有料のIRの他に、無料の体験版もDLできます。
Celestion Digital
Celestion(セレッション)はスピーカーユニットの開発で有名なブランドです。
実際のスピーカーだけでなく、それらをもとにしたIRも製作・販売しています。
僕はVIntage30 4×12 ClosedのIRを購入して使ってみました。個人的におすすめする有料IRです。
CelestionのIRと買い方の紹介OwnHammer
ギター・ベース用の有料IRが多数販売されています。
無料のIRはないものの、サンプルの動画が豊富で比較検討しやすいです。
僕自身Diezelのキャビネットを基にしたIRを購入してみましたが、間違いのないクオリティでした。
上のCelestionと合わせて、こちらも自身を持っておすすめします。
OwnHammerのIRと買い方の紹介RedWirez
有料だけでなく、お試し版として無料のIRが配布されています。
メールアドレスとニックネームを送信すると、DL用のアドレスが送られてくる仕組みです。
お試し版も十分使えるクオリティだったので、まずはそちらをどうぞ。
Wilkinson Audio
「God’s Cab」というIRが無料で手に入ります。
これは無料の製品をカートに入れて買うという形です。
住所やメールアドレスを打ち込む手間はあるが、難しくはありません。
鈴木健治さんオフィシャルサイト Life with Guitar
無料でWAVファイルが1つ公開されています。
JST
「CONQUER ALL」という有料のIR製品が販売されています。
おわり
以上、IR(Impulse Response)について解説してきました。
重要なポイントをまとめると次のとおりです。
- IRは、キャビネットの反応をシミュレートしたWAVファイル
- IR対応の機材やソフトに読み込んで使う
- 無料で配布されていたり、有料で売られていたりする
IRを読み込める機材を持っていたり、ソフトの用意ができていたりする方は、ぜひ活用してみてください。
最初から有料のものを使う必要はなく、まずは無料から試してみるのがおすすめです。
Impulse Responseの関連記事
OwnHammerのIRと買い方の紹介 CelestionのIRと買い方の紹介 NadIRのインストールと使い方の解説【無料のIRローダーソフト】おすすめ記事
【2020】1台目のオーディオインターフェースおすすめ3機種 エレキギターとPCを接続する方法【オーディオインターフェースを使う】 YouTubeにアップする弾いてみた動画の作り方 マルチエフェクターでエレキギターを録音する手順【解説】 自宅でエレキギターの録音をする方法まとめ【アマチュア向け】