この記事ではPRSのギターでトラスロッド調整をする際の注意点について解説します。
結論から書くと、PRSのトラスロッドは通常の2倍の感度を持つため、1日の回転は1/8回転にとどめた方がよい、ということです。
以下ではPRSのネックの仕組みや、調整方法について書いていきます。
PRS独自のダブル・アクティング・トラスロッド
PRSのギターには、「ダブル・アクティング・トラスロッド」と呼ばれる特殊なトラスロッドが搭載されているケースがあります。
まずトラスロッドとは、エレキギターのネックの中に仕込まれているパーツです。
エレキギターはトラスロッドを調整することで、ネックの反りを直せます。
例えば僕が使っているCustom24 10topにはダブル・アクティング・トラスロッドが使われています。
なぜ分かるかというと、付属した取扱説明書にそう書いてあるからです。(クリックで拡大)
僕が使っているCustom24はSEやS2より上位の、レギュラーのグレード(Coreシリーズ)のものです。
SEやS2をお使いの方は、付属する取扱説明書をチェックしてみてください。
同じように書いてあればそのギターもダブル・アクティング・トラスロッドを搭載していると考えていいでしょう。
通常の2倍の感度
ダブル・アクティング・トラスロッドは、通常のトラスロッドに比べて2倍の感度を持ちます。
例えばダブル・アクティング・トラスロッドの45度回転は、通常のトラスロッドの90度回転に相当するということです。
一般に、トラスロッドの回転は1日に45度(1/4回転)までとされています。
つまり、ダブル・アクティング・トラスロッドの回転は1日に22.5度(1/8回転)までにするべきと言えます。
これは説明書を読んで初めて分かることです。
ギターのパーツの中でもネックは最も繊細な部分の1つですので、気をつけたほうがいいでしょう。
PRSのネック調整方法
要は1日に回転させていい角度が半分なだけで、PRSのネック調整も他の点については普通のギターと同じです。
ここから、僕が使っているCustom24を例に調整方法をご紹介します。
【前提】無理に調整する必要はない
最初に書いておくと、ネック調整は必ずしもやる必要はありません。
ネック(トラスロッド)はとてもデリケートなパーツです。
ネックを調整しなければいけない明確な理由がない限り、やらなくてもいいと考えてください。
1.ネックの反りをチェック
ネックの反りは次のようにチェックできます。
(右利き用の場合)
- 1フレットを左手で押さえる
- 最終フレットを右手の小指で押さえる
- 右手の人差指で12フレット付近を叩き、すき間をチェックする
1mm弱くらいの、ほんの僅かなすき間であればネックは正常です。
この場合は何もする必要はありません。
一方、次の場合はネックが反っている状態と言えます。
- 順反り:すき間が広い
- 逆反り:すき間が全くない
ネックが反っている場合は調整してみましょう。
2.トラスロッドのカバーを外す
基本的にPRSのギターではヘッドのカバーを外すとトラスロッドにアクセス出来ます。
ネジを1本外せばカバーは簡単に取れます。
3.トラスロッドを回す
トラスロッドは、付属のツールを使って回します。
この六角の穴をトラスロッドの調整部にはめます。
3,4弦が邪魔になるはずなので、多少緩めておくといいでしょう。
ネックの反りに応じて次のように回します。
- 時計回り
→順反りを直す - 反時計回り
→逆反りを直す
大事なことなので何度も書きますが、1日の調整は1/8回転にとどめましょう。
もし1/8回転で修正しきれなければ、日を改めてもう一度調整します。
しかしネックはとてもデリケートな部分なので、扱いには十分注意してください。
PRS ネック調整 まとめ
以上、PRSのネック調整についての注意点を解説しました。
重要なポイントをまとめると次のとおりです。
- PRSののギターには「ダブル・アクティング・トラスロッド」が使われていることがある
- このトラスロッドは、通常よりも2倍の感度を持つ
- よって、1日の回転数は1/8回転に留める
ネック(トラスロッド)はギターの中でも特に繊細な部分です。
自信がなかったり不明な点があれば無理せず専門家にまかせるのをおすすめします。