今回は、Ibanezのギターでオクターブチューニングをする方法を解説します。
今回例として使うのは、SシリーズのS420というギターです。
トレモロブリッジはZero Resistanceというフロイドローズタイプのモデルで、イントネーション調整ボルトがあるのが特徴です。
(詳しくは後述)
フロイドローズの中でも、イントネーション調整ボルトがあるタイプはかなり珍しいです。
そのため同じIbanezでもほとんどのモデルには適用できません。
同じ仕様のギターをお持ちの方の参考になればと思います。
オクターブチューニングとは
はじめに、オクターブチューニングについて簡単に説明しておきます。
「もう知ってるよ」という方は読み飛ばしてOKです。
オクターブチューニングを一言で表せば、「フレットをおさえた時の音程のズレを修正する作業」といえます。
例として、6弦をEの音にチューニングする場合で考えてみましょう。
6弦の解放弦をEの音に合わせたら、6弦の12フレットを押さえたときも、1オクターブ上のEの音が鳴るはずです。
ところが、12フレットの音がEからずれている場合があります。
すると、「開放弦で正しくチューニングをしたのにフレットをおさえたときの音がズレる」という問題が起こるのです。
原因は、弦が収まっているサドルと12フレットとの距離にあります。
オクターブチューニングによって、これを修正します。
確認事項
オクターブチューニングを始める前に、いくつか確認してほしいことがあります。
通常のチューニングを済ませる
オクターブチューニングの前に、まずは普通のチューニングを済ませてください。
やり方はこちらからどうぞ↓
フロイドローズ(ロック式ギター)のチューニング方法オクターブチューニングは必要かチェック
そもそもオクターブチューニングが必要かどうかは、簡単にチェックできます。
上でも説明したとおり、目安として開放弦と12フレットの音が明らかにずれていたら、オクターブチューニングをする必要があります。
オクターブチューニングはギターを弾くときに絶対に必要なものというわけではありません。
そのため、初心者のうちはとりあえず無視して、余裕が出てきたころにチェックするくらいでもまったく問題ありません。
ブリッジは沈みすぎていないか?
イントネーション調整ボルトを使ってオクターブチューニングするタイプのブリッジでは、注意点が一つ。
ブリッジのおしりが沈みすぎていると、ボルトを差し込めず、物理的にオクターブチューニングできません。
参考として次の画像では、ブリッジがボディに対しておおむね水平になっています。
(これが理想的な状態)
そのため、オクターブチューニングをする前にブリッジの状態をチェックして、必要なら調整しておいてください。
やり方はこちらからどうぞ↓
Ibanezのギターのトレモロブリッジを水平にする方法オクターブチューニングの方法
これから、オクターブチューニングの具体的な方法について解説していきます。
ロックナットを外す
まずは、六角レンチを使ってロックナットを全て外します。
外したナットは失くさないように気をつけて保管しておいてください。
イントネーション調整ボルトを取り出す
このギターのオクターブチューニングには、イントネーション調整ボルトというネジを使います。
ブリッジに挿してあるので、回して抜き取ります。
ボルトをブリッジの後ろから挿す
オクターブチューニングは、弦一本ずつやります。
そこで、ここでは6弦を例にとって説明します。
先ほど取り出したボルトを、ブリッジの後ろの穴に挿します。
「これ以上進まない」というところまで回してください。
手では回しづらいので、ラジオペンチなどを使うのがおすすめです。
サドルロックボルトを緩める
イントネーション調整ボルトを奥までしっかりと挿し込んだら、次にサドルロックボルトを緩めます。
(画像参照)
外す必要まではありません。
このボルトを緩めることで、サドルの位置を動かしてオクターブチューニングができるようになります。
イントネーション調整ボルトで音程を調整
サドルロックボルトを緩めた状態で、もう一度イントネーション調整ボルトに戻ります。
チューナーで音をモニタリングしながら、音程のズレに応じて、次のように調整してください。
- 12フレットで音が低い
イントネーション調整ボルトを時計回りに回す
⇒12フレットとサドルの距離が近くなる
⇒12フレットの音が高くなる
- 12フレットで音が高い
イントネーション調整ボルトを反時計回りに回す
⇒12フレットとサドルの距離が遠くなる
⇒12フレットの音が低くなる
ボルト類をもとに戻す
無事に開放弦と12フレットの音程を合わせられたら、ボルト類をもとに戻します。
まずは、サドルロックボルトを締めて、サドルを固定してください。
そしてその後にイントネーション調整ボルトを抜き取ります。
最後にロックナットを戻す前に、もう一度通常のチューニングをしておくといいでしょう。
ロックナットを締めたら、全て終了です。おつかれさまでした!
おわりに
以上、IbanezのSシリーズのギターを例に、オクターブチューニングの方法を解説しました。
まとめると、ここで紹介した手順の事前の注意点としては次の2つがあります。
- イントネーション調整ボルトがあるタイプの方法であること
- ブリッジが沈みすぎていると調整できないこと
また、オクターブチューニングを正しい手順を行っても、完璧に音程が合うとは限りません。
どこかで妥協しなければならない場合もあるということを、頭の片隅に置いておいてください。
Ibanezのギターでオクターブチューニングをしたい方の参考になれば幸いです。