今回は、MOOER(ムーア)のMICRO PREAMP 001 Gas Stationのレビューです。
(以下、Gas Stationとします)
このGas Stationというペダルは、エフェクターではなくプリアンプという位置づけの製品です。
サウンドはDiezelのアンプHagenをモデリングしたものであり、その歪みはエフェクターというよりは真空管アンプのそれに近いものがあります。
Gas Stationは1万円弱という値段ながら、かなり使える歪みサウンドが出せると思いました。
さらに超コンパクトなサイズで2chを搭載し、キャビネットシミュレータの機能まで備えるシロモノです。
MOOERのマイクロ・プリアンプシリーズに興味をお持ちの方や、ギター用のプリアンプをお探しの方はぜひご覧ください。
Mooer Micro Preampの付属品
Gas Stationの内容物はこちらです。
- Gas Station本体
- 内箱(黒)
- 説明書(日本語・英語)
- ステッカー
- 他の製品のチラシ
Micro Preampシリーズのラインナップが紹介されています。それぞれもとにしたアンプも書かれていて分かりやすいです。
ここには10種類しか載っていませんが、今はもっと増えています。
Mooer Micro Preampコントロール
次に、Gas Stationのコントロール系統についてチェックしていきます。
フットスイッチを除くと、コントロールツマミ・ボタンは次の6つあります。
- マスターボリューム
- ゲイン
- トレブル
- ミドル
- ベース
- チャンネル切り替え(LEDボタン)
ツッコミどころとして、「VOL」や「TRE」という文字は横に書いてあるのに、ツマミは縦向きに設計されています。上の写真では全てのツマミを12時(中央値)にしています。
モデルとなったアンプヘッドを模して表記は横向きにしたかったが、ペダルとしてはツマミを縦方向にするしかなかった、といったところでしょう。
最初は違和感を覚えるかもしれませんが、少し使えば慣れます。
チャンネル切り替え
Gas Stationには2つのチャンネルが用意されており、切り替えボタンを押すと交互に使えます。
LED赤色がハイゲイン・チャンネル、LED青色がクランチ・チャンネルです。
そのため完全なクリーンには対応していません。
感心したのは、チャンネルを変えてまた戻ってきても、もとのチャンネルの設定(EQなど)が保存されていることです。
ある意味で2つのチャンネルのEQが独立していると言えます。
小さな製品だと思って正直ナメていたところもあったのですが、こういう細かいところにも手が届いていて驚きました。
キャビネットシミュレータ
Gas Stationは2チャンネルプリアンプだけでなく、キャビネットシミュレータの機能も持っています。
つまり、キャビネットシミュレータをONにすると、OUTPUTから出てくる音はあたかもキャビネット(スピーカー)から出てくる音をマイクで拾った音になるということです。
この機能を使うには、先程のチャンネル切り替えボタンを長押しします。するとボタンのLEDが点滅し、シミュレータ機能がONになります。
もちろんこれはチャンネル1、2ともに使えます。
キャビシミュの音質はまずまず
僕も実際に、次のようにつないでキャビシミュの音を聞いてみました。
Gas Stationにはヘッドホン端子はないので、直接ヘッドホンで音を聞くことはできません。
肝心のキャビシミュの音質はというと、端的に言えば普通でした。
悪くもないですが、特別良くもないです。
僕は宅録のメインとしてPC用ソフトBIASシリーズを使っているのですが、それには遠く及びませんでした。
そのため、これだけで宅録環境を整えようとするのはおすすめできません。あくまでおまけ程度に考えることをおすすめします。
とは言っても、この小さなサイズにシミュレータを内蔵したメーカーの心意気には感心せざるを得ません。
キャビネットシミュレータはそれだけでエレキギター界隈の1つの大きなテーマだからです。
ちなみに、MOOERからはキャビネット・スピーカーシミュレータとしてRADARという製品が発売されています。
もしもGas Stationだけで十分なシミュレータ環境が出来てしまったらRADARの存在意義がなくなってしまうでしょう。
気になった方はRADARの方もチェックしてみてください。
フットスイッチの2通りの使い方
Gas Stationのフットスイッチには、次の2通りの使い方があります。
- エフェクトON・OFF
- チャンネル1・2の切り替え
1つ目はエフェクトをかけるか、かけない(バイパスする)かを選ぶモードです。
これは普通のエフェクター等と同じ感覚で使えます。
そして2つ目は、チャンネル1と2を交互に切り替えるモードです。
このモードではバイパスさせられない代わりに、フットスイッチでチャンネルの切替が出来るようになります。
Gas Stationを完全にプリアンプとして運用し、常にONにしておくならこのモードが便利です。
上でキャビネットシミュレータの機能をご紹介しましたが、シミュレータ機能はフットスイッチのモードに関係なく使えます。
Mooer Micro Preampの使い方
Gas Stationはプリアンプという位置づけであるため、使い方で混乱する方もいるかもしれません。
そこで具体的な使い方を2パターン紹介しておきます。
- プリアンプとして、アンプのRETURNにつなぐ
- エフェクターとして、アンプのINPUTにつなぐ
1.プリアンプとして使う
Gas Stationはプリアンプとして作られているため、アンプのRETURNにつなぐのが基本的な使い方です。
- ギター
↓ - Gas Station
↓ - アンプのRETURN
Gas Stationをプリアンプとして位置づけるなら、アンプに内蔵されているプリアンプを通す必要はありません。
そこで、アンプのRETURN端子(もしあれば)に接続すれば、アンプのプリアンプを経由せずにパワーアンプ以降の部分のみを使えます。
例えば僕が使っているCARVIN V3Mというアンプヘッドには背面にSEND・RETURNの端子があります。
Gas StationのOUTPUTをここに接続すれば、V3Mのプリアンプを通さずに、真空管パワーアンプのみを使えます。
比較的シンプルなアンプだとSEND・RETURN端子はないことが多いです。
例えば、同じく僕が使っているORANGE MICRO TERRORというアンプヘッドにはSEND・RETURNがありません。
2.エフェクターとして使う
このようにGas Stationは本来プリアンプなのですが、その外見どおりペダル(エフェクター)としても普通に使えます。
この場合は普通のエフェクターと全く同じように、アンプのINPUTに挿します。
- ギター
↓ - Gas Station
↓ - アンプのINPUT
実際に使う上で、Gas Stationをどのように使えばいいか正解はありません。
これはもうアンプとの相性の問題なので、「どちらも試してみて、良かった方が正解」と考えましょう。
僕もどちらの使い方もしてみましたが、音の傾向が違うというだけで、絶対的にどちらが良いということはありませんでした。
Gas Stationを手に入れた際には、ご自身の環境のもとで色々試してみてください。
Mooer Micro Preampの良くなかったところ
逆に悪い点・気になった点も書いておきます。
- キャビネットシミュレータはいらなかった
- ツマミの耐久性が心配
- 小さいせいでケーブルの重みに耐えられない
シミュレータはいらなかった
キャビネットシミュレータがそこまで良くないというのは、上にも書いたとおりです。
心意気は良いのですが、これならシミュレータ機能を排除してもう少し(1000円くらいでも)安価にしてもらえればなと思いました。
キャビネットシミュレータの機能は上でご紹介した同社のRADARに任せて、MICRO PREAMPシリーズはプリアンプ・エフェクターとしての機能に特化させる方がよかったと思います。
キャビネットシミュレータが目当てであればいっそのことMOOER製マルチエフェクターを検討するのも手です。
【MOOER GE150レビュー】IR読み込み可能な2万円のマルチエフェクターツマミの耐久性が心配
ツマミは貧弱というわけでもないのですが、かといって頑丈にも感じません。
使い込んでいるうちにコロッと壊れてしまわないかちょっと心配です。
これはGas Stationの悪いところというよりも、今のところは僕の心配に過ぎないのですが一応書いておきます。
軽さのせいで動いてしまう
小さくコンパクトに作ってあるのは省スペースの観点からすると良いことなのですが、シールドの重み(張力)に負けて浮いたり動いたりすることがあります。
これはGas Stationに限った話ではないですし、いくらでも工夫しようがあるのですが、ちょっと気になりました。
Mooer Micro Preamp レビューまとめ
以上、MOOERの小型プリアンプMICRO PREAMP 001 Gas Stationのレビューでした。
Gas Stationの一番のメリットは、Hagenを模したアンプ系の歪みサウンドです。
ずばりこの音が好みなら歪みプリアンプ(あるいはエフェクター)として良い選択肢になると思います。
MOOERのMicro Preampシリーズは他にもたくさんあるので、ぜひそちらもチェックしてみてください。
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